Category: Ascend Consultancy

  • Ascend Consultancyによる今後の展望:先進航空モビリティ – 2024年4月の寸評

    Ascend analyst Tim Chun Hing Li
    Ascend analyst Tim Chun Hing Li

    Tim Li, Aviation Analyst, Cirium Ascend Consultancy

    今年第2四半期に入り、Cirium Fleets Analyzerのデータベースには、年初来計450件弱の先進航空モビリティ(AAM)セクターの新規発注コミットメントが記録されました。合計機数は13,500件をわずかに超えています。AAM市場は、ボロコプター(Volocopter)が2024年のパリ五輪期間中の運航開始を宣言するなど、当初設定された運航開始日の目標達成に少しずつ近づいています。第1四半期には、いくつか明るい材料も出てきました。EHangはE216-Sについて、中国民用航空局(CAAC)から世界初の型式認証を取得した後、その一般販売を開始しました。他のOEM(航空機メーカー)も、自国の規制当局から生産組織承認(POA)を取得し、設計に基づく生産への道をさらに切り開いています。それでも、そのような事業が実現するという絶対的な確証はまだありません。

    データの対象範囲は以下の通りとなっています。

    航空機市場グループ航空機メーカー機種注釈
    eVTOL – UAV/UASBETA TechnologiesALIA-250 
    eVTOL – Urban Air MobilityAMSL AeroVertiiaNewly added
    eVTOL – Urban Air MobilityAerofugiaAE200 
    eVTOL – Urban Air MobilityArcher AviationMidnight 
    eVTOL – Urban Air MobilityAscendance Flight TechnologiesAtea 
    eVTOL – Urban Air MobilityAutoFlightProsperity 1 
    eVTOL – Urban Air MobilityBETA TechnologiesALIA-250 
    eVTOL – Urban Air MobilityCrisalion MobilityIntegrityNewly added
    eVTOL – Urban Air MobilityDuFour AerospaceAero3 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangEH216 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangVT-30 
    eVTOL – Urban Air MobilityEve Air MobilityEve 
    eVTOL – Urban Air MobilityHorizon AircraftCavorite X7Newly added
    eVTOL – Urban Air MobilityJaunt Air MobilityJourney 
    eVTOL – Urban Air MobilityJoby AviationS4 
    eVTOL – Urban Air MobilityLilium GmbHLilium Jet 
    eVTOL – Urban Air MobilityManta AircraftANN2 
    eVTOL – Urban Air MobilityOdys AviationOdys eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityOverair IncButterfly 
    eVTOL – Urban Air MobilityPlanaCopterPlane CP-01 
    eVTOL – Urban Air MobilitySirius AviationSirius Jet 
    eVTOL – Urban Air MobilitySkyDriveSD-05 
    eVTOL – Urban Air MobilityTCab TechE20 eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityVertical Aerospace Group LtdVX4 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloCity 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloConnect 
    eVTOL – Urban Air MobilityWisk Aero LLCCora 
    eVTOL – Urban Air MobilityXTI Aircraft CompanyTriFan 600 
    Business Electric – Multi EngineElectraElectra eSTOL 
    Business Electric – Multi EngineAirflowM200 
    Business Electric – Multi EngineBye AerospaceeFlyer 800 
    Business Electric – Multi EngineElectronElectron 5 
    Business Electric – Multi EngineEviationAlice 
    Business Electric – Single EngineBETA TechnologiesCX300 
    Business Electric – Single EngineVoltAeroCassio 330 
    Regional Electric – SmallAura AeroERA 
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-19Programme cancelled, and revised to ES-30
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-30 
    Regional Electric – SmallJektaPHA-ZE 100 
    Regional Electric – SmallLYTE AviationLA-44 Skybus 
    Regional Electric – SmallMaeve AerospaceMaeve 01Programme cancelled, OEM revised to M80*

    eVTOL – アーバンエアモビリティ(UAM)

    Cirium Fleets Analyzerが捉えたeVTOLセクターの発注コミットメントの総数は現在、10,300件をわずかに上回っています。EVE Air MobilityとVertical Aerospaceは、過去9ヵ月間に新規受注を一切記録していないにもかかわらず、最も発注コミットメントが多いOEMとして際立っています。これらの新規コミットメントは圧倒的にアジア太平洋地域からのもので、以前はよく見られたリース会社のような馴染みのある名前はほとんどありません。

    資金調達の持続――業界の成長に不可欠な要素

    Ciriumのデータによると、発注コミットメントの伸び率自体は減少しています。この6ヵ月間のコミットメント総数の純増数は600件をわずかに下回る水準で、うち約80%がアジア太平洋地域からのものでした。コミットメント件数は全体として、その前の6ヵ月間と比較して50%以上減少しています。しかし、開発サイクルの現段階では、受注伸び率の減退は想定外ではありません。

    CiriumのFleets Analyzerデータベースによると、現在、機体デザインが登録され、発注コミットメントも得ている機体デザインは20以上に上っており、新規参入企業も続々と現れています。これらの要因からみて、AAM市場に対する熱意はまだ衰えていないことが分かります。

    一般に発注コミットメントとは、将来に支払いが行われることが確約されていることを意味し、多くの場合は合意された諸条件が適用されます。そのような条件の例としては、開発スケジュールの遵守が挙げられます。発注コミットメントは投資元の信頼を高め、最終的には支払いに結びつくものですが、OEMにとって即座にキャッシュフローの源にならないことがよくあります。製品開発、特にこのような先駆的技術の開発には、長い時間とコストがかかります。約束を果たすために設定された節目に到達し、それによってAAMのビジョンを実現する能力を獲得するために、OEM各社は、親会社、政府、あるいは既存・新規の投資家から、新たな資金を調達する必要があるのです。

    直接融資が減少すれば、業界の将来の発展に大きな影響を与えるでしょう。製品開発とマーケティングの努力への継続的なサポートを保証するという意味で、近い将来から中期的な将来にかけて、企業・事業の統合が注目を浴びる可能性があります。

    ビジネス電動機 – マルチエンジン

    電動ビジネス航空機セクターの発注コミットメントの総数は現在3,200件を超えており、過去6ヵ月間で約500件増えました。この約500件のうち330件以上を占めるのが、米ダラスを拠点とするJSX航空によるコミットメントです。その発注機種はAURA AEROのERA、ElectraのeSTOL、Heart AerospaceのES-30などさまざまです。また、ElectraのeSTOLは、アメリカのリージョナル機運航会社であるSurf Air(90件)のほか、インドのJet Set Go(50件)からも追加の受注コミットメントを得ています。

    *ヨーロッパの新興企業であるMaeve Aerospaceはその戦略を見直しして、「M80」と名付けられた80人乗りのハイブリッド電動航空機という新しいコンセプトを打ち出しました。つまり、もともと開発していた新型機「M01」(44人乗り)については、現在は保留中ということになります。その当初の発注がM80に移管されるかどうかはまだ不明です。

    現在、こうした大型規格のコンセプトに沿った機材設計のほとんどは、航空機が完全に電気だけで動くというビジョンから転換し、代わりにハイブリッドのコンセプトに基づいて行われるようになっています。


    Sara Dhariwal
    Lead Appraiser – Helicopters & AAM

    Ascend analyst Tim Chun Hing Li

    Tim Chun-Hing Li
    Aviation Analyst

    Pascal Chui

    Pascal Chui
    Valuations Analyst

    Yuri Zhang

    Yuri Zhang
    Valuations Analyst

    Eric Tamang

    Eric Tamang
    Valuations Analyst

  • Ascend Consultancyによる今後の展望:ボーイング737の生産率が2024年の納入動向に与える影響とは?

    Aircraft Appraiser of the Year
    RobMorris Cirium
    RobMorris Cirium

    Rob Morris, Global Head of Consultancy, Cirium Ascend Consultancy

    3月20日にロンドンで開催された会議「バンク・オブ・アメリカ・グローバル・インダストリアルズ」で、ボーイングの最高財務責任者(CFO)を務めるBrian West氏は、現在の737の生産率について具体的には述べなかったものの、以前はその月産機数が「30機台前半から半ば」であったと明言しました。このことは、以下に掲載したCiriumのフリートデータのチャートで示されています。このチャートは、ボーイングとエアバスの主要なシングルアイル機製造ラインで生産された機材の初飛行を追跡したものです。しかし、ボーイングが今年1月と2月に達成した初飛行はそれぞれ19機と11機に過ぎず、月平均36機近い初飛行を記録した昨年2月から7月にかけての「30機台前半から半ば」の水準を大きく下回っていることも明らかです。昨年のその時期以降、生産数は明らかに下降線をたどり、現在では「10機台前半から半ば」あたりに位置しているのです。

    このことが2024年の納入動向に与える影響とは何でしょうか?現在、Cirium Ascendによる暫定的な仮説では、737Maxが今年中に500機納入されることになっています。数週間前までは、この仮説はほぼ確実なものに思えましたが、今では大きな下振れリスクがあるようです。

    3月22日の本稿執筆時点では、Ciriumのデータには、(上記の初飛行のデータには含まれているものの)分析からは除外された737-800ベースのP-8の1機を含む計58機の737が2024年に納入されると記録されています。したがって、現四半期末に近づく今、この合計には57機の737Maxのみが含まれています。同じデータによると、ボーイングのMaxの在庫は167機(いずれも初飛行済みではあるものの未納入の機体)です。しかし、この合計には27機の737-7Maxと6機の737-10Maxが含まれており、どちらの機種(バリアント)も米連邦航空局(FAA)による認証がまだ下りていないため、2024年に顧客に納入されることはほぼありません。そのような訳で、在庫から引き渡されると想定されるのは、最大で737-8 Maxが130機、737-9 Maxが4機となります。これを今年の累計値に加えると、計191機の納入となります。

    つまり、ボーイングが当社の暫定的な仮説である500機の納入を達成するためには、さらに309機を初飛行させて納入する必要があるのです。

    単純計算すると、ボーイングの月産機数が来月から「30機台前半から半ば」まで回復すると仮定すれば、1ヵ月あたり34機以上の新造機が製造されることになります。しかしながら、これはあり得ないシナリオのように思えます。ボーイングが諸問題を解決し、再び2023年半ばの水準に向けて増産を開始するまでには、おそらく最大で3ヵ月はかかると考えた方がよさそうです。

    このシナリオでは、6月まで現在の水準で生産が行われ、その後9月までには「30機台前半から半ば」に回復すると仮定した場合、2024年の新造機の追加数は約250機となります。この数字を現時点の総計および在庫からの将来の推定納入機数に加えると、2024年全体の推定納入機数は約440機となります。

    このリスクを僅かながら軽減する明るい材料が一つあります。1月29日に行われたボーイングの昨年第4四半期決算説明会では、最高経営責任者(CEO)を務めるDave Calhoun氏が「2023年に生産された機材のうち、まだ仕掛品が25機ほどある」と指摘しました。もしこれらの航空機がまだ初飛行を終えていないのであれば、今年中に完成して引き渡される候補となり、下振れリスクをある程度軽減することができます(ただし、これらの機材がどの機種なのかは不明ですが)。

    よって、2024年に737Maxを500機納入するという当社の暫定的な仮説についての下振れリスクは40~60機程度となります。

    航空会社からは既に今年の納入不足が予想されるとの声が聞かれ、地域的・世界的なキャパシティ不足はさらに深刻化しています。この”危機”が長く続くことがないとしても、ボーイング737の生産面の苦境は早急に解決する必要があるでしょう。


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  • 2024年に注目すべき航空業界の指標が生産量である理由とは

    Chris Wills, Head of Consultancy Operations, Senior ISTAT Appraiser, Cirium Ascend Consultancy

    「私たちは(概ね)まだ上昇過程にある」という結論は、Cirium Ascend Consultancyの最新ウェビナー「まだ上昇中ですか? 2024年の航空市場展望」での議論から導き出されたものです。ウェビナーでは、Lalitya Dhavala(バリュエーションマネージャー)が司会を務め、Rob Morris(コンサルタント統括)とGeorge Dimitroff(バリュエーション統括)が、市場の主要素の2019年からの回復状況について議論しました。

    概要

    • 旅客輸送量は昨年11月には2019年の水準にほぼ達しており、なお概ね増加傾向にあります。その増加率は2.5%とわずかに落ち込んだものの、まだ失速を示唆するものではありません。しかし、地政学的リスクとマクロ経済の動向には注意を払う必要があります。
    • 座席キャパシティは増加し、2024年初頭には2019年同期の水準を6%上回る見込みです。
    • 世界の旅客フリートは増加傾向にあります。既に2019年の水準を上回っており、その構成も変化しています。
    • 機材の稼働率も上昇中で、月間稼働時間は2019年の水準にほぼ戻っています。
    • 駐機・保管中の在庫機材は減少しています。(一時的に)保管中の低機齢の機材のうち約400機がGTFエンジン搭載機または737-9となっていますが、737-9の方はほとんど保管されていません。
    • 納入機数は伸び悩んでいます。2024年1月は、2023年同月と比べて納入機数、初フライト数ともに減少し、2019年同月よりも顕著に減少しています。
    • 高機齢の機材に対する需要は上昇を続けており、在庫機数、価値、リース料にそれが反映されています。
    • 商用機の受注残は増加傾向にありますが、統計的に正規化して配備フリートに占める割合で見ると、以前のような歴史的な高水準には達していません。
    • Cirium Fleet Forecastに基づけば、受注が増加する余地はあるものの、納入が目標より遅れているため、既にかなりの数になっている受注残がさらに増えることになります。
    • 逸話に富んだ事例報告が相次いでいるにもかかわらず、現実の取引の増加ぶりはほんの僅かなものです。
    • 機材の価値とリース料は上昇しており、金利が急速または大幅に低下しなければ、リース料はさらに上昇する余地があります。
    • 新造機材の価格は上昇しています。これは9・11米国同時多発テロ以降に見られた現象ですが、今回の景気サイクルにおいては同様の状況にはならないかもしれません。
    • 新造機の価値全体に占めるエンジン価値の割合は、予備エンジン、オーバーホール、LLP(ライフ・リミテッド・パーツ=寿命制限部品)の価格高騰に伴って上昇しています。しかし、これは新造機の価格上昇によってのみ持続し得るものであり、そうでなければ、エンジン価値とメンテナンスコストは、ある時点で必然的にその上昇速度を緩めることになるでしょう。
    • 2024年に監視すべき重要な点は機材の生産体制であり、当面は特に計画された増産に向けた進捗状況に注目したいところです。しかしながら、OEMが今後5年間に生産率を急激に引き上げれば、価値とリース料の上昇傾向を台無しにしかねないというリスクにも留意すべきです。
    • 現在は明らかに機材の品質が重視されるようになっているため、ボーイングは以前よりも低い市場シェアを受け入れざるを得なくなるかもしれません。
    • 改めて、2024年のAppraiser of the Yearにおいて私たちに投票してくださった皆様、本当にありがとうございました。

    詳細情報

    旅客輸送量の動きを見ると、依然として増加傾向にあります。ただし、昨年12月については、11月よりも伸びが鈍化したため、世界全体での増減率は2019年12月比で2.5%減となりました。アメリカを含む大規模な国内線市場では、需要がやや軟化した一方、座席キャパシティは増加しています。これは今後注視すべき点です。当然ながら輸送量は季節によって変動します。2019年の数字は12月のものですが、回復が依然として軌道に乗っているかどうかを判断するには、夏のシーズンが重要な意味を持ちます。

    地政学的リスクは常に存在しており、今はむしろそのリスクは増大しています。

    マクロ経済も考慮すべきですが、今のところ物価上昇は需要動向には影響を与えていません。

    12月の減少は、ほぼ2019年の水準に戻った11月と比べて小幅な軟化傾向であり、少なくとも回復の失速を示すものではありません。

    キャパシティが輸送量を上回るペースで増大することは長期的には健全ではありませんが、成長予測の先行指標となることもあります。予定座席キャパシティは、2023年末に2019年の水準をわずかながら上回り、今年第1四半期末までには2019年比6%増となる見通しです。

    世界の旅客フリートは増大傾向にあり、今では2019年の稼働フリート規模を上回っています。確かに2024年のフリートは増大していますが、2019年のそれとは状況が異なっていることに注意しなければなりません。その一例として、市況が低迷した時期に事実上、すべての747-400が退役したことが挙げられます。

    さらに、フリートが増えただけでなく、もうひとつの重要なキャパシティ指標である機材稼働率も上昇しました。機材の月間フライト時間は、ほぼ2019年の水準に戻っています。

    駐機・保管機材の在庫は減少しており、再稼働しない機材もある一方で、復帰する可能性のある機材も相当数あります。現役復帰の有力候補となる機材は、保管期間が2年未満のものと、15年未満のものです。とはいえ、機齢15年以上の機材が1,000機もあります。通常なら復帰は期待できないものの、現在の制約のある供給状況を考えれば、復帰する機体が一部あるかもしれません。A320neoと737-9については、一時的に稼働を停止しているに過ぎません。今後数ヵ月は移動平均で約300機以上が駐機・保管されることになりますが、最終的にはすべてが復帰して運航されることになっています。

    新造機の供給は、市場の成長に向けて伸び悩んでいる分野のひとつです。2024年1月は、2023年同月と比べて納入機数、初フライト数ともに減少し、2019年同月よりも顕著に減少しています。このような課題を惹起する要因は数多くあります。エアバスもボーイングも、現在の水準を上回る月次納入率を目標としているにもかかわらず、これからの1年間でそれを達成する見込みはなさそうです。それでも、このどちらかのOEMが2025年または2026年に計画目標を達成した後、さらに高い生産率を求めようとした場合には、長期的にみて機材の供給過剰が問題となる可能性があります。

    商用機の受注残は増加傾向にあり、確定発注で14,000機に迫ろうとしていますが、配備(就航)フリートの割合は歴史的な高水準には達していません。シングルアイル機は2020年にピークに達して約85%となり(その年のフリートの混乱により偏りがあったとはいえ、それ以前のピークは2014年の77%でした)。一方、ワイドボディ機は、前回の景気後退期の2008年にピークの70%以上となりました。

    Cirium Fleet Forecastに基づけば、10年後までの納入を見据えた受注拡大の余地はあります。しかし、既にかなりの規模になっている受注残と、OEM(航空機製造企業)が直面している納入面の課題(その一部は直近のAscend Forecastの終了後に浮上しています)を考えると、受注拡大の余地はどの程度あるのでしょうか?

    リース付き機材の移動平均の売上が伸びている一方、昨年末の取引減少の影響もあり、また1月末に開かれたダブリンでの業界会合から伝えられた逸話的な示唆とも比較すると、予想されるよりも緩やかな上昇となっています。

    すべての機材タイプに当てはまるわけではありませんが、大半の機材の価値とリース料は上昇しています。フリート加重平均ベースでみると、基準価値に対する市場価値の比率(MV・BV率)はコロナ禍前よりも高くなっています。

    リース料は伸びているとはいえ、なお大体において価値の変動に追随しており、今年はさらに上昇する余地があります。コロナ下でどん底だった状況を考えると、最近の上昇ぶりはパーセンテージで見て顕著です。しかし一方、過去の水準と比較し、さらにインフレや金利を考慮すれば、リース料はそれほど高いとは言えません。また、機材の所有コストが、航空会社の直接運航コスト(DOC)の中で人件費、燃料費、整備費に次いで4番目に大きい項目であることは注目に値します。リース料が高騰しても、他のコストの上昇に比べれば、運航会社はそれほど痛みを感じることなく上昇分を吸収することができるのです。

    新造機の価格は、長年にわたる停滞を経て上昇しています。これは2003年から2008年にかけても見られた傾向ですが、その後の世界金融危機で価格は暴落し、真に回復することはありませんでした。しかし、いくつかの理由から、今回の景気サイクルではそうならないかもしれないのです。受注残は非常に大きな規模となっており、それが2030年代まで続く見込みです。つまり、OEMは既に受注契約にエスカレーション条項の要素を組み込んでおり、これは新規納入価格の継続的な上昇という点で有利に働きます。供給の制約が続いている間は、それが新造機価格の上昇を下支えします。ところが、今後10年間の後半にその制約が克服され、OEMが過剰生産に転じれば、上昇傾向の一部が反転するか、上昇幅が横ばいになる可能性があるのです。

    新造機の価値に占めるエンジンの価値の比率は上昇していますが、この状態が長く続くとは思えません。 新品の予備エンジン、オーバーホール、LLPの価格が上昇し続けるのであれば、機体の価値も上昇しなければなりません。そうでなければ、機齢の低い機材のパーツアウトを促す裁定取引が生じる可能性があります。解決策は、機材メーカーが新造機の価格を一貫して引き上げることです。一方でエンジンメーカーは、アフターマーケットからの収益への依存度を下げ、新造の搭載エンジンの販売価格を引き上げる必要があります。

    2024年以降に注目すべきは生産率です。今のところ、納入目標を達成することについては、明確な課題があります。生産率の向上が切実に求められているのですが、もし生産量が今後10年間の終わりまで、あるいはそれ以降も増え続ければ供給過多の状態となり、価値とリース料が再び圧迫される恐れがあります。当然ながら、特に持続可能性の目標を達成するためには、需要を満たすだけでなく、機材のリプレースを促すためにも、新しい航空機が必要なのです。

    競争という点では、デュオポリー(2社による市場独占)がなくなることはないでしょう。市場には、キャパシティの面でも価格競争力の維持の面でも、デュオポリーが必要なのです。

    また、私たちは、ボーイングが737の価格を大幅に引き下げることができるとは思えないし、その意思もない(あるいはその必要もない)とみています。納入率が低いと単価は高くなります。とはいえ、納入が大幅に遅れた場合の補償により、航空会社が支払う実質的な最終価格が引き下げられる可能性もあります。かつてボーイングは市場シェアを守ることに注力していた可能性があるものの、現在は明らかに量ではなく質に焦点を移しています。過去に私たちは、どちらかのOEMの市場シェアが著しく低下した場合には、まったく新しい航空機プログラムの立ち上げを予想することもあり得ました。しかし、これほど大規模かつ長期的な受注残を抱えているため、短期的にはそのようなビジネス機会はあまりないと思われます。したがって、ボーイングは当分の間、過去20年よりも数量的に小さい市場シェアを容認することになるかもしれません。

    Aircraft Appraiser of the Year

    最後に、Appraiser of the Yearにおいて私たちに投票してくださった皆様、重ねて本当にありがとうございました。

    私たちはこの栄誉に恥じないよう、最も多くの賞を受賞した鑑定士チームとして期待されるあらゆること、さらにそれ以上の努力をこれからも続けて参ります。


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  • キャセイパシフィック航空のマンパワー需要

    Eric Tamang
    Eric Tamang

    Eric Tamang, Valuations Analyst, Cirium Ascend Consultancy

    新型コロナウイルスのパンデミックの最中、世界各国の政府が国境封鎖を開始したため、海外旅行は深刻な影響を受けました。香港のような地域は国内市場を持たないため、なおさら大きな打撃を受けました。

    Cirium Tracked Utilizationのデータによると、事実上、香港の航空会社であるキャセイパシフィック航空の1日あたりのフライト数(7日移動平均)は、2020年初めに前年同期比で90%減少しています。

    キャセイパシフィック航空は資金消費を減らすため、2021年10月、約600人のパイロットを含む計6,000人弱の雇用を削減しました。

    また同社は、イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、そして2022年末に最後に実施したアメリカを含め、海外のパイロット基地をすべて閉鎖しました。

    キャセイパシフィック航空の1日あたりの追跡フライト数(7日移動平均)

    ソース:Cirium Core, tracked utilization data filed January, 25, 2024

    新型コロナウイルス感染症が風土病(エンデミック)となった今、飛行機利用の需要は回復し、1日あたりの追跡フライト数はコロナ禍前の水準に戻っています。しかし、キャセイパシフィック航空は、パイロットの病欠により少なくとも42便をキャンセルしたため、2023年12月中旬以降は1日の追跡便数が減少していることが確認できます。

    Ciriumのデータベースを基に作成したこのグラフでは、キャセイパシフィック航空がなお、同社フリート全体の10%に相当する21機を駐機・保管していることも示されています。

    キャセイパシフィック航空のフリート

    ソース:Cirium Fleets Analyzer, 25 January 2024

    商用航空機が保管されている理由は数多くあります。CiriumのGround Events分析を見ると、本稿を書いている時点(2024年1月25日)では、キャセイパシフィック航空は重整備に入る機材を1機も保有していないことが分かります。それでも、主にパイロット不足の影響により、21機の機材を保管しているのです。

    キャセイパシフィック航空のメンテナンスイベント

    ソース:Cirium Ground Events Analytics, 25 January 2024

    2023年末、キャセイパシフィック航空は、2023年と2024年に、客室乗務員1,500人とパイロット候補生800人以上を含む計5,000人以上の従業員を雇用する計画を発表しました。しかし、従業員の雇用活動は難航しており、結果として2023年のクリスマス以降、フライトを相次いでキャンセルしています。

    キャセイパシフィック航空のパイロット組合である香港航空乗組員協会(the Hong Kong Aircrew Officers Association)は、コロナ禍に見舞われた2020年に会社側が下した決断の結果として、現在の上級パイロットの不足が生じたと述べました。あの当時、同社は「現場スタッフの給与の大幅かつ恒久的な削減」を実施しました。

    今年の中国の旧正月は2月10日~24日であり、もう間近に迫っています。

    この時期は旅行のピークを迎えますが、キャセイパシフィック航空は既に2月末までの期間、1日平均12便を削減しました。今後、さらなる欠航は避けられないようです。

    キャセイパシフィック航空は2023年の中間報告で、2024年末までに100%のキャパシティ水準に到達することを「確信している」と報告しています。しかし、これは従業員の採用活動が成功しなければ達成できそうにありません。


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  • Cirium Ascend Consultancyが9度⽬となる2024年の「Appraiser of the Year」受賞

    Airline Economics Aviation 100 Global Leaders Awards 2024の「Appraiser of the Year」2024年の勝者、Cirium Ascend Consultancy

    ロンドン– 2024年1月30日 — 世界で最も信頼される航空分析ソースであるシリウムの⼀員、Cirium Ascend Consultancyが、Airline Economics誌の「Aviation 100 Global Leaders Award 2024」において業界で羨望(せんぼう)の的となっている「Appraiser of the Year」を受賞しました。これにより、同社は再び⽐類ない航空評価の専⾨知識を証明しました。今回の素晴らしい成果で、Cirium Ascend Consultancyは9度にわたってこの名声ある賞を受賞し、航空業界をリードするコンサルタント組織としての地位を強化したことになります。

    ダブリンで開催の「Global Frontiers Conference」にて授与されるこの賞は、航空分析とコンサルティングの卓越性、そしてイノベーションに対するCirium Ascend Consultancyの揺るぎない決意を評価するものです。今年の授賞式は、新型コロナウイルスの世界的⼤流⾏が収束した後に進化する航空業界の様相など世界が抱えている課題を前に、同社が発揮する⼒強い適応性と回復⼒を反映しているので、特に深い意味を持ちます。

    ⻑年にわたり、Cirium Ascend Consultancyは着実に航空分析の⽔準を向上させ、業界の主要プレーヤーの戦略を形作った価値の⾼いインサイトを提供してきました。

    最先端技術を深い市場知識と組み合わせた総合的アプローチは、正確な評価と戦略的な助⾔サービスを提供する際に役⽴ってきました。この賞は、急速に進化する世界の中で2024年の航空市場における回復と成⻑を進めるにあたり、同社が持つ役割を⼀層強調しています。

    Cirium Ascend Consultancyの貢献は評価にとどまらず、リスク管理、アセット・トラッキング、サステナビリティ評価などさまざまな航空分析を含みます。

    CO2排出量ベンチマーキングや燃料消費の分析といった同社の⾰新的なソリューションは、より持続可能な未来に向けた業界の移⾏を⽀援するという決意の表れです。

    今年の賞は、Cirium Ascend Consultancyが投資上の意思決定をよりスマートにする上で重要な役⽬となる分析を⾏うことで航空⾦融に与える多⼤な影響にも光を当てています。同社のデータとインサイトは、リスク管理と機会の最⼤化を図る銀⾏、保険会社、リース会社、その他⾦融機関にとって⾮常に価値があることを証明しました。

    2024年「Appraiser of the Year」はCirium Ascend Consultancyの業績をたたえるだけでなく、航空界が同社に置く信頼と⾃信を象徴するものです。信頼性があり、⾰新的で、業界を前進させるソリューションを提供する能⼒を評価しています。

    Cirium Ascend Consultancyおよび受賞歴のあるサービスについての詳細は、こちらでご覧ください。


    Cirium Ascend Consultancyについて

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  • Ascend Consultancyによる今後の展望:先進航空モビリティ – 2024年1月の寸評

    Pascal Chui
    Pascal Chui

    Pascal Chui, Valuations Analyst, Cirium Ascend Consultancy

    先進航空モビリティ(AAM=先進エアモビリティ)市場は年明け以降、季節の移り変わりを反映して徐々に冷え込んでいます。昨今の金利の急上昇と資本コストの増加の影響を受けているのです。それでも、そのような逆風にもかかわらず、2023年12月31日現在では、Ciriumのデータベースに記録された発注コミットメントおよび正式発注の数は計13,000件以上に増加し、過去12ヵ月で3,700件以上が確保された形となっています。

    データの対象範囲は以下の通りです。

    航空機市場グループ航空機メーカー機種注釈
    Regional Electric – SmallLYTE AviationLA-44 Skybus 
    Business Electric – Multi EngineElectronElectron 5 
    Business Electric – Multi EngineAirflowM200 
    Business Electric – Multi EngineBye AerospaceeFlyer 800 
    Business Electric – Multi EngineEviationAlice 
    Business Electric – Multi EngineElectraElectra eSTOL 
    Business Electric – Single EngineVoltAeroCassio 330 
    Business Electric – Single EngineBETA TechnologiesCX300 
    eVTOL – UAV/UASBETA TechnologiesALIA-250c 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangVT-30 
    eVTOL – Urban Air MobilityJoby AviationS4 
    eVTOL – Urban Air MobilityManta AircraftANN2 
    eVTOL – Urban Air MobilityWisk Aero LLCCora 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloConnect 
    eVTOL – Urban Air MobilityTCab TechE20 eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityOverair IncButterfly 
    eVTOL – Urban Air MobilityAerofugiaAE200 
    eVTOL – Urban Air MobilityPlanaCopterPlane CP-01 
    eVTOL – Urban Air MobilityDuFour AerospaceAero3 
    eVTOL – Urban Air MobilityAutoFlightProsperity 1 
    eVTOL – Urban Air MobilityBETA TechnologiesALIA-250 
    eVTOL – Urban Air MobilitySkyDriveSD-05 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangEH216 
    eVTOL – Urban Air MobilityJaunt Air MobilityJourney 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloCity 
    eVTOL – Urban Air MobilityArcher AviationMidnight 
    eVTOL – Urban Air MobilityAscendance Flight TechnologiesAtea 
    eVTOL – Urban Air MobilityOdys AviationOdys eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityXTI Aircraft CompanyTriFan 600 
    eVTOL – Urban Air MobilityLilium GmbHLilium Jet 
    eVTOL – Urban Air MobilityVertical Aerospace Group LtdVX4 
    eVTOL – Urban Air MobilityEve Air MobilityEve 
    Regional Electric – SmallMaeve AerospaceMaeve 01 
    Regional Electric – SmallJektaPHA-ZE 100 
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-19Programme Cancelled
    Regional Electric – SmallAura AeroERA 
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-30 

    eVTOL – アーバンエアモビリティ(UAM)

    市場では今、Eve Air MobilityVertical AerospaceのVX4を筆頭に競争が過熱しています。注目すべきは、本格的な試験飛行を行なっていないにもかかわらず、Eveが驚くべき数の受注を獲得し、投資家からの強い信頼を得ていることです。同時に、Archer、Jaunt Air Mobility、Ascendance Flight Technologies、Volocopter、AutoFlightといった新興企業も注目を集めており、それぞれ過去1年間に約200機の受注を獲得しています。こうしたeVTOL(電動垂直離着陸機)タイプへの関心が高まっているのです。

    Top 15 eVTOL types with most commitment orders

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    その受注状況にはeVTOLへの強い意欲と戦略が反映されています。特にアメリカを中心とした北米からの受注が3,300件を超え、市場を大きくリードしています。次いで活況を呈しているアジア太平洋市場では、とりわけインド、中国、日本が牽引し、計2,300件近くの受注がありました。ヨーロッパの総受注件数は約1,700件で、イギリスが最大のシェアを占めています。中南米も、ブラジルを中心に計550件という大量の受注件数を記録しました。

    Regional Distribution of Order Commitment for eVTOL

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    EHangが初めて型式証明を取得

    2023年10月、EHangは無人eVTOLであるEH216-Sについて、中国民用航空局(CAAC)から世界初の型式証明を取得し、大きな目標をひとつ達成しました。EHangは、空中での観光体験を一変させることを目指しています。EHang EH216のオーダーブックには、インドネシアのPrestige Aviationの101機、中国のShenzhen Boling Holding Groupの95機、マレーシアのAerotree Flight Services Sdn Bhdの61機、日本のAirX Inc.の50機を含め、アジア全域のさまざまな一般航空やビジネス航空の運航会社からの発注コミットメントが含まれています。

    EHang EH216 Order List

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    ビジネス電動機 – マルチエンジン

    Top regional or business electric types with the most order commitments

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    ビジネス電動機の分野では、ElectraのeSTOLが、ヘリコプターのリース会社であるBristow Group(ブリストウ・グループ)のような著名なクライアントをはじめ、計1,100件以上の受注を獲得しています。しかし、これらの受注コミットメントの大半は、発注主などの内容が公表されていません。ElectraのeSTOLは、昨年11月11日に初の全電動テストフライトを、次いで11月19日にはハイブリッド電動フライトをそれぞれ実施しました。eVTOLとは異なり、ElectraのeSTOLはその先進的なブローンリフト技術により、離発着の際、従来の滑走路の1/10の長さしか必要としません。この機能により、ElectraのeSTOLは、従来の滑走路用のスペースを確保できないような場所へのフライトを提供することが可能となるため、潜在的な航空機利用の旅行目的地と運航の柔軟性を大幅に拡大することができます。


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  • シリウム、2023年フリート予測で2024年の年間旅客機納⼊額の1,000億ドル超えを予想

    • 2023年から2042年までの間に、45,200機の新規旅客機が3.2兆ドルの⾒積もり額で納⼊されると予測されています。
    • 2022年との⽐較で、貨物輸送能⼒は年率4.1%増加すると予測されています。
    • エアバスとボーイングの2社による⺠間航空機OEMの以前とした優勢体制により、2042年までに航空機の89%が2社により納⼊されるとの⾒込みがあります。

    ロンドン2024年1月11日 — 世界で最も信頼性の⾼い航空分析の情報源を提供するシリウムは、シリウム・アセンド・コンサルタンシーを通して2023年フリート予測を発表し、2024年の年間旅客機納⼊額が1000億ドルを超える⾒通しであることを発表しました。

    発⾏11年⽬を迎える同予測では、貨物輸送能⼒は2022年と⽐べて年率4.1%増加し、今後20年間で、1,060機の新造の航空機と2,530機の旅客機からの改造を含む、3,590機の貨物航空機が供給されるだろうと予測しています。

    エアバスとボーイングは、2042年まで全航空機合計の89%を納⼊するとして、⺠間航空機製造分野の優位性を引き続き維持するでしょう。

    フィギュア 1:Forecast deliveries 2023-2042

    シリウムのフリート予測の能⼒評価モデルは、航空機に対する将来の需要について独⾃の⾒解を提供し、さらに、単⼀通路型の航空機の⽣産量を増加させることは妥当かどうか、A321neoと737-10、A350-1000と777-9、A350Fと777-8Fのシェアはどうなるのか、エアバスとボーイングが市場のおよそ90%を占めると予測されている中で、いつ新しいプログラムを導⼊できるか、また中国の新しいプログラムはどの程度の市場シェアを占めることになるのか、といった質問を提示しています。

    地域的な視点から⾒ると、アジアが引き続き主導権を握ることになり、中国は8%を超える最も⾼い旅客輸送能⼒の成⻑率を示すと予想されています。

    これにより、中国は世界全体の旅客輸送量の19%を占め、合計で24%を占める他のアジア太平洋諸国を上回り、単独の国としてはこの地域で最⼤の国となるでしょう。

    北⽶の航空会社が20%、欧州が18%でこれに続きます。中東の航空会社は7%を占めますが、より⾼い価値を持つ双通路型航空機を豊富に導⼊しているため、⾦額ベースでは11%にまで上ります。

    フィギュア 2:Forecast new deliveries 2023-2042 by airline region

    シリウムのフリート予測はシナリオ・ベースのアプローチを採⽤しており、専⾨家による解説と分析を組み合わせながら、⼊⼿し得る最新の情報を調査することを重視しています。今年の予測は、アセンドの2022年回復シナリオ7の最近調整されたバージョンに基づいており、その詳細はフリート予測レポートに記載されています。

    エグゼクティブサマリーのダウンロードは、こちらをご覧いただくか、シリウムまでご連絡いただき詳細レポートを購⼊してください:お問い合わせ | Cirium (シリウム)


    シリウムについて

    Cirium®は航空分析の情報源として世界で最も信頼されています。強力なデータと最先端の分析を提供し、幅広い業界関係者をサポートしています。航空会社、空港、旅行会社、OEM、金融機関が業務を最適化し、十分な情報に基づいた意思決定を行い、収益増大を加速させるために必要となる明瞭性とインテリジェンスを提供しています。

    Cirium®はRELXの事業であるLexisNexis® Risk Solutionsの一部であり、専門家およびビジネス顧客向けに情報をベースとした分析と意思決定ツールを提供しています。RELX PLCの株式は、ロンドン、アムステルダム、ニューヨークの各株式市場において、以下のティッカーシンボルを使用して取引されています。ロンドン:REL、アムステルダム:REN、ニューヨーク:RELX

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    本記者発表⽂の公式バージョンはオリジナル⾔語版です。翻訳⾔語版は、読者の便宜を図る⽬的で提供されたものであり、法的効⼒を持ちません。翻訳⾔語版を資料としてご利⽤になる際には、法的効⼒を有する唯⼀のバージョンであるオリジナル⾔語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

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  • Business Aviationの一部タイプの基準価値および予測価値(残存価値)の大幅な改定について

    Cirium Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントによる最新情報の全文をお読みください。Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントは、航空会社、航空機製造・メンテナンス企業、金融機関、保険会社、非銀行系投資家に緻密な分析、解説、予測を提供するエキスパートです。

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    Daniel Hall, Senior Valuation Consultant, Cirium Ascend Consultancy

    ビジネス航空(ビジネスアビエーション)セクターはここ数年間、一貫して成長と成功の物語を紡いできました。フライト活動は活発化し、機材の受注残も増え、販売用の在庫機数は減少しています。そして、私たち鑑定士にとって注目すべきは、2021年第1四半期から2023年末にかけて、市場価値が著しく上昇していることです。この原稿を書いている時点(2023年12月)では、ビジネスターボプロップ機、軽量機、スーパーミッドサイズ機の各カテゴリーの市場価値は、一定機齢のフリート加重ベース(つまり資産減価償却の影響を除いて算出)で、平均48~71%も上昇しています。下のグラフでは、そのような価値の変動状況が機材サイズ区分のカテゴリー別に示されています。グラフには驚くような数値が示されていますが、ここで根本的な疑問が生じてきます。つまり、このような市場価値の上昇を受けて、残存価値をどう正確に予測するのか、そして市場がよりバランスの取れた水準に向かって正常化した場合、これらの数値の下振れリスクはどうなるのかという疑問です。

    ソース:Cirium Values Analyzer, Cirium Fleets Analyzer. Market Value changes are a fleet-weighted average, and on a constant age basis for aircraft up to 25 yr old, Large (removed for analysis) includes high-% low-$ changes to older types including those to small niche variant fleets.

    一般的には、ここで基準価値(ベースバリュー)のコンセプトが登場します。国際輸送航空機貿易協会(ISTAT)は基準価値について、「基準価値とは、需要と供給の妥当なバランスが保たれ安定した市場における航空機(またはその他の航空関連資産)の価値についての鑑定人の見解である……(後略)」と定義しています。Cirium Ascend Consultancyで私たちは、将来の残存価値を予測するために基準価格を使用しています。Cirium Ascend Consultancyでは、市場価値と基準価値を(比率にして)比較することにより、当該資産タイプの市場がどのような状況にあるのかを一定程度、示すことも行っています。市場価値は鑑定士たちの予想をはるかに超えた水準で上昇していましたが、2023年半ばまでには、市場に顕著な変化が起きていることが次第に明らかになってきました。これは通常の景気サイクルではなく、価値が2020年初頭に最後に見られた水準まで下がることはないとみられます。

    そこで私たちは、上記の機材サイズカテゴリーに焦点を当てつつ、現在および将来の基準価値予測を見直すプロジェクトに着手しました。

    ロングレンジ(長距離)とビズライナーのカテゴリーについては、見解を修正しないことにしました。これらのカテゴリーでは他と同水準の価値変動は見られず、現行の予測は投資家へのガイダンスとして弾力性があり、かつ正確であることが証明されているからです。

    これらの改定作業においては、以下の通り、私たちの判断を導いてくれたいくつかの基本事項があります。

    • 私たちは依然として高インフレの環境下にあります。このため、新規の機材価格設定に大きな変化が生じ、10年以上ぶりに10~30%の幅で価値の改善が見られました。以前は、その当時のインフレにもかかわらず、新規設定の機材価格は前年比ベースで比較的安定していました。
    • 機材メーカー各社の受注残は、ほとんどのモデルで2~3年分となっており、かつてない水準にまで伸びています。これにより、過剰生産や”ホワイトテール”(特定の購入見込み客なしに製造される機材)が発生しないことが保証され、新機価格での利益が維持されることになります。
    • 現在は労働力、パーツ、専門技術などの面でサプライチェーンが圧迫される環境が続いており、このことが生産率を上げる能力を複合的に抑制しています。そのため前述のように、旺盛な需要がある中で安定した供給を維持することは、引き続き価格設定と価値の保持に役立っています。
    • この業界では(ビジネス航空の)新規利用者が多くなっており、フライト活動は減退しているものの、なお2019年比で15%増の水準にあります。現在、多くの機材がフラクショナル(分割所有)に移行しており、このセクターのフリート数シェアは拡大しています。こうしたフラクショナル・ユーザーは、将来的に機材の個人購入者になる可能性があります。
    • Cirium Ascend Consultancyの見解では、たとえ需要が軟化したとしても、メーカーは新規価格を下げることはできないとみられます。エンジン、アビオニクス(航空機に搭載される電子機器)などのサプライヤーはOEMへのコストを引き上げており、これが反転することはほぼあり得ません。こうした価格上昇は今後も続くと予想されます。
      • 新造機材や低機齢の機材の価格上昇は、トリクルダウン効果があるため、価値曲線全体に寄与します。これにより事実上、多くの機材タイプでも見られるように、スタート時点で最低10~30%の基準価値の向上が生み出されます。

    ここで私たちは、市場が引き続き正常化し、需給が均衡するにつれて、市場価値(マーケットバリュー)が下落すると予想されることを強調しておかなければなりません。したがって、基準価値の上昇は、これまでのところわずかです。しかし現在、基準価値に対する市場価値の比率(MV・BV率)は、その多くが概ね120~130%の水準になっており、多数の機材タイプが150%以上になっていた状況からは大きく変化しています。

    変化について

    私たちは、75ほどのビジネス航空の機材バリエーション(バリアント)に対して変更を加えました。平均すると、フリート加重平均でみた現在基準価値(Current Base Value)に対する私たちの見解の変動幅は32%増となります。その分布の範囲は、マイナス6.5%からプラス156%までとなっています。ほんの一握りの機材バリエーションに対しては、この大幅な見直しの一環として必要になったため、小さなマイナスの変更を加えました。上昇率が著しく高くなった機材モデルは、より安いドルの基準価値から乖離しています。例えば、ビーチジェット400の旧モデルでは、以前の価値は100万ドル以下でした。下の分布チャートが示すように、変化の約3分の2は35%以内の幅でした。

    ノート:outliers (negative & very large increases) not included.

    各バリアントについて、以下の点を再評価しました。

    • 現在基準価値(起点)
    • 残存価値曲線(Residual Value Curve) – 市場価値保持の実績と競争環境に基づく。
    • 生産サイクルにおける位置づけ – 私たちは機材タイプのバリアントについて、その独自の技術サイクルに基づき、評価を若干修正しました。
    • 残存フロア(下限)価値 – 当社による機材のパーツアウトまたはスクラップの推定価値。
    • 変更はオンラインで2023年9月1日から12月2日まで有効。
    • HondaJet(ホンダジェット)については、「エリートII」の導入に伴い2023年5月に変更したため、以下では取り上げていません。

    基準価値のインフレ – 2024年1月1日

    この見直し(および以下に示す数値)とは別に、毎年1月1日にすべての航空機の基準価値に対しインフレに関する変更が行われています。ここ数年、私たちは毎年末に実際の米ドルCPI(消費者物価指数)に基づくインフレ状況を評価し、その上昇分を新年の価値に適用しています。2024年については、現在および将来のすべての基準価値に3.1%のインフレ率を適用しました(通常の方法)。この率は、当社の通常の方法として、2023年11月30日に終了する12ヵ月間のアメリカのCPI-U指数(全都市、全商品、季節調整なし)を反映させたものです。また、すべてのメンテナンス費用に4.1%のエスカレーション(インフレ率より1%高い)を適用し、フルライフの価値が維持されるようにしています。前方曲線に対応する将来のインフレ率の初期値は、(ユーザーが別途選択しない限り)2%のままです。

    2023年12月時点の変動状況の概要は以下の通りです。

    航空機メーカー機材のタイプまたはバリアント現在基準価値の一定機齢フリート加重ベースの変化率(%)
    BOMBARDIERChallenger 30034.4%
     Challenger 35018.5%
     Challenger 35004.9%
     Challenger 60479.2%
     Challenger 60552.4%
     Challenger 65025.5%
     Learjet 4035.0%
     Learjet 40XR48.6%
     Learjet 4570.5%
     Learjet 45XR43.9%
     Learjet 6059.5%
     Learjet 70-2.6%
     Learjet 757.4%
    DassaultFalcon 20002.0%
     Falcon 2000DX25.4%
     Falcon 2000EX1.2%
     Falcon 2000EX EASy25.7%
     Falcon 2000LX13.1%
     Falcon 2000S3.5%
     Falcon 2000LXS6.8%
    EmbraerLegacy 60046.6%
     Legacy 650-0.3%
     Legacy 45028.1%
     Legacy 50013.9%
     Phenom 10030.3%
     Phenom 30016.7%
     Praetor 50015.4%
     Praetor 6002.8%
    GulfstreamG15016.1%
     G20039.4%
     G28019.9%
    PilatusPC-12 41 / 45 / 4738.4%
     PC-12 NG26.4%
     PC-12 NGX8.9%
     PC-249.6%
    Textron Aviation (Beechcraft)King Air B20037.1%
     King Air B200GT13.2%
     King Air 25026.2%
     King Air 2607.3%
     King Air 35033.6%
     King Air 350ER17.7%
     King Air 350i25.2%
     King Air 3608.4%
     King Air C90B28.5%
     King Air C90GT25.5%
     King Air C90GTi25.9%
     King Air C90GTx15.0%
    Textron Aviation (Cessna)Cessna 208 Caravan39.9%
     Cessna 208B Grand Caravan37.4%
     Mustang40.2%
     CM29.6%
     CJ148.3%
     CJ1+73.6%
     CJ2+56.1%
     CJ259.5%
     CJ325.9%
     CJ420.4%
     Excel58.4%
     XLS79.1%
     XLS+53.8%
     Latitude-6.5%
     Sovereign49.0%
     Sovereign+10.3%
     Longitude28.8%
     X40.5%
     X+3.2%
    Textron Aviation (Hawker)Hawker 400 / Beechjet 400156.1%
     Hawker 7507.9%
     Hawker 800XP100.9%
     Hawker 800XPi43.3%
     Hawker 850XP39.9%
     Hawker 900XP30.5%
     Hawker 400062.9%