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Ascend Consultancyによる今後の展望:先進航空モビリティ – 2024年4月の寸評


Cirium Fleets Analyzerは今年に入って以降、先進航空モビリティ(AAM)セクターの新規の発注コミットメントを450件弱記録しました。

Ascend Tim Chun Hing Li, Ascend by Cirium

筆者:Tim Li, Aviation Analyst at Cirium Ascend Consultancy

今年第2四半期に入り、Cirium Fleets Analyzerのデータベースには、年初来計450件弱の先進航空モビリティ(AAM)セクターの新規発注コミットメントが記録されました。合計機数は13,500件をわずかに超えています。AAM市場は、ボロコプター(Volocopter)が2024年のパリ五輪期間中の運航開始を宣言するなど、当初設定された運航開始日の目標達成に少しずつ近づいています。第1四半期には、いくつか明るい材料も出てきました。EHangはE216-Sについて、中国民用航空局(CAAC)から世界初の型式認証を取得した後、その一般販売を開始しました。他のOEM(航空機メーカー)も、自国の規制当局から生産組織承認(POA)を取得し、設計に基づく生産への道をさらに切り開いています。それでも、そのような事業が実現するという絶対的な確証はまだありません。

データの対象範囲は以下の通りとなっています。

航空機市場グループ航空機メーカー機種注釈
eVTOL – UAV/UASBETA TechnologiesALIA-250 
eVTOL – Urban Air MobilityAMSL AeroVertiiaNewly added
eVTOL – Urban Air MobilityAerofugiaAE200 
eVTOL – Urban Air MobilityArcher AviationMidnight 
eVTOL – Urban Air MobilityAscendance Flight TechnologiesAtea 
eVTOL – Urban Air MobilityAutoFlightProsperity 1 
eVTOL – Urban Air MobilityBETA TechnologiesALIA-250 
eVTOL – Urban Air MobilityCrisalion MobilityIntegrityNewly added
eVTOL – Urban Air MobilityDuFour AerospaceAero3 
eVTOL – Urban Air MobilityEHangEH216 
eVTOL – Urban Air MobilityEHangVT-30 
eVTOL – Urban Air MobilityEve Air MobilityEve 
eVTOL – Urban Air MobilityHorizon AircraftCavorite X7Newly added
eVTOL – Urban Air MobilityJaunt Air MobilityJourney 
eVTOL – Urban Air MobilityJoby AviationS4 
eVTOL – Urban Air MobilityLilium GmbHLilium Jet 
eVTOL – Urban Air MobilityManta AircraftANN2 
eVTOL – Urban Air MobilityOdys AviationOdys eVTOL 
eVTOL – Urban Air MobilityOverair IncButterfly 
eVTOL – Urban Air MobilityPlanaCopterPlane CP-01 
eVTOL – Urban Air MobilitySirius AviationSirius Jet 
eVTOL – Urban Air MobilitySkyDriveSD-05 
eVTOL – Urban Air MobilityTCab TechE20 eVTOL 
eVTOL – Urban Air MobilityVertical Aerospace Group LtdVX4 
eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloCity 
eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloConnect 
eVTOL – Urban Air MobilityWisk Aero LLCCora 
eVTOL – Urban Air MobilityXTI Aircraft CompanyTriFan 600 
Business Electric – Multi EngineElectraElectra eSTOL 
Business Electric – Multi EngineAirflowM200 
Business Electric – Multi EngineBye AerospaceeFlyer 800 
Business Electric – Multi EngineElectronElectron 5 
Business Electric – Multi EngineEviationAlice 
Business Electric – Single EngineBETA TechnologiesCX300 
Business Electric – Single EngineVoltAeroCassio 330 
Regional Electric – SmallAura AeroERA 
Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-19Programme cancelled, and revised to ES-30
Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-30 
Regional Electric – SmallJektaPHA-ZE 100 
Regional Electric – SmallLYTE AviationLA-44 Skybus 
Regional Electric – SmallMaeve AerospaceMaeve 01Programme cancelled, OEM revised to M80*

eVTOL – アーバンエアモビリティ(UAM)

Cirium Fleets Analyzerが捉えたeVTOLセクターの発注コミットメントの総数は現在、10,300件をわずかに上回っています。EVE Air MobilityとVertical Aerospaceは、過去9ヵ月間に新規受注を一切記録していないにもかかわらず、最も発注コミットメントが多いOEMとして際立っています。これらの新規コミットメントは圧倒的にアジア太平洋地域からのもので、以前はよく見られたリース会社のような馴染みのある名前はほとんどありません。


資金調達の持続――業界の成長に不可欠な要素

Ciriumのデータによると、発注コミットメントの伸び率自体は減少しています。この6ヵ月間のコミットメント総数の純増数は600件をわずかに下回る水準で、うち約80%がアジア太平洋地域からのものでした。コミットメント件数は全体として、その前の6ヵ月間と比較して50%以上減少しています。しかし、開発サイクルの現段階では、受注伸び率の減退は想定外ではありません。

CiriumのFleets Analyzerデータベースによると、現在、機体デザインが登録され、発注コミットメントも得ている機体デザインは20以上に上っており、新規参入企業も続々と現れています。これらの要因からみて、AAM市場に対する熱意はまだ衰えていないことが分かります。

一般に発注コミットメントとは、将来に支払いが行われることが確約されていることを意味し、多くの場合は合意された諸条件が適用されます。そのような条件の例としては、開発スケジュールの遵守が挙げられます。発注コミットメントは投資元の信頼を高め、最終的には支払いに結びつくものですが、OEMにとって即座にキャッシュフローの源にならないことがよくあります。製品開発、特にこのような先駆的技術の開発には、長い時間とコストがかかります。約束を果たすために設定された節目に到達し、それによってAAMのビジョンを実現する能力を獲得するために、OEM各社は、親会社、政府、あるいは既存・新規の投資家から、新たな資金を調達する必要があるのです。

直接融資が減少すれば、業界の将来の発展に大きな影響を与えるでしょう。製品開発とマーケティングの努力への継続的なサポートを保証するという意味で、近い将来から中期的な将来にかけて、企業・事業の統合が注目を浴びる可能性があります。

ビジネス電動機 – マルチエンジン

電動ビジネス航空機セクターの発注コミットメントの総数は現在3,200件を超えており、過去6ヵ月間で約500件増えました。この約500件のうち330件以上を占めるのが、米ダラスを拠点とするJSX航空によるコミットメントです。その発注機種はAURA AEROのERA、ElectraのeSTOL、Heart AerospaceのES-30などさまざまです。また、ElectraのeSTOLは、アメリカのリージョナル機運航会社であるSurf Air(90件)のほか、インドのJet Set Go(50件)からも追加の受注コミットメントを得ています。

*ヨーロッパの新興企業であるMaeve Aerospaceはその戦略を見直しして、「M80」と名付けられた80人乗りのハイブリッド電動航空機という新しいコンセプトを打ち出しました。つまり、もともと開発していた新型機「M01」(44人乗り)については、現在は保留中ということになります。その当初の発注がM80に移管されるかどうかはまだ不明です。

現在、こうした大型規格のコンセプトに沿った機材設計のほとんどは、航空機が完全に電気だけで動くというビジョンから転換し、代わりにハイブリッドのコンセプトに基づいて行われるようになっています。


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