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ダイヤの原石:コロナ以前より伸びている空港は?

September 7, 2021

まずはっきり言っておきます。世界の航空業界は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、引き続き大きな課題を抱えています。IATAが6月に発表した最新データによると、航空需要はパンデミック前の水準から依然として60%下回っているのです。そう、60%もです!

まずはっきり言っておきます。世界の航空業界は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、引き続き大きな課題を抱えています。IATAが6月に発表した最新データによると、航空需要はパンデミック前の水準から依然として60%下回っているのです。そう、60%もです!

Jeremy Bowen, Cirium CEOしかし、信じられないかもしれませんが、この危機的状況にも勝者がいます。それは、空港です。コロナ禍以前よりも忙しくなった空港が少なくないのです。Ciriumのデータプラットフォーム「Cirium Core」から得られたスケジュールデータによると、利用者の多い世界上位300の空港(2019年のランキング)のうち14%の空港で、2021 年7月から9月に出発座席数が2年前の同時期よりも増加しています。

最大の勝者は、大きな国内市場を持つロシアと中国にある空港です。国境閉鎖の影響を国内需要でまかなえているためです。ロシアでは、2014年冬季オリンピックの開催地でもあったソチが国内観光客に人気が高く、ソチにあるソチ空港の出発座席数は世界トップの79%の増加となりました。また、国内の観光地として人気の高いサンクトペテルブルクのプルコヴォ空港も出発座席数が増加しています。一方、中国では、国際的にほとんど知られていない小規模な空港や、観光客が多く訪れる立地にある空港で出発座席数が増加しています。例えば、海南島のビーチリゾートに程近い三亜空港や、中国有数の富裕都市である無錫市にある無錫空港もそうです。

利用者が増えているのはロシアや中国の空港だけではありません。米国領プエルトリコの首都にあるサンファン空港では、2019年7月から9月と比較して今期の出発座席数は18%も増加しています。アメリカ人はまだあまりビジネスでの渡航は再開していませんが、休暇をビーチで過ごす人が増えているのではないでしょうか。パンデミック後にキャパシティ(発着容量)が増加した米国の他の空港には、マウイ空港とマイアミ空港があります。マイアミ空港は大規模な国際路線があるにもかかわらず、国内需要が盛況でキャパシティが増加しています。また上位301以下の空港を見てみると、サウスカロライナ州のマートルビーチ空港やフロリダ州のフォートマイヤーズ空港など、米国の小規模なバケーションスポットにある空港も大きく成長しています。なお、フロリダ州にある全ての空港のキャパシティを合計すると、コロナ禍以前よりも増加しています。

ソルトレークシティーやデンバーなどの米国の他の空港も同様で、いずれも山間部の観光地として人気を集めています。ナッシュビル、オレンジカウンティ、フェニックスにある各空港も勝ち組に入っています。

ロシア、中国、米国以外ではどうでしょうか?世界最大級の観光市場であるメキシコには、今年注目すべき成長を遂げた主要空港が2つあります。ひとつは、メキシコから程近い米国サンディエゴにも就航しているティファナ空港です。もうひとつは、国内外の旅行者に人気のビーチスポットであるカンクン空港です。また韓国では、ソウルの主要なハブ空港であるソウル・インヘオン空港の国際線のキャパシティは以前の数分の1になっていますが、国内線を中心とした同空港のキャパシティは現在10%増加しています。観光地の済州島にある済州国際空港も増加しています。

ヨーロッパはどうでしょうか?イタリアのシチリア島にあるパレルモ空港では、定期便の出発座席数が5%増加しています。また、観光客向けのギリシャの2つの空港、イラクリオン空港とロードス空港でも座席の予約が増加しています。

2021年10月から12月のフライトスケジュールは変更される可能性がありますが、Ciriumのスケジュールデータで予約状況を見ると、パンデミック前に比べてキャパシティが大幅に増加している空港がいくつかあります。米国のテキサス州では、ダラスフォートワース空港とオースティン空港が好調です。ダラスフォートワース空港はアメリカン航空のハブ空港で、同じくハブ空港のシャーロット空港も、10月から12月にはプラスに転じています。また、アンタルヤ空港やイスタンブールのサビハ・ギョクチェン空港などのトルコの空港も同様の傾向です。西ヨーロッパでは、ナポリ、ブカレスト、ブリュッセルのシャルルロワなどの空港は座席の予約が増加し、冬季の勝者となっています。インドの観光地のゴア州にあるゴア空港でも、10月から12月にかけてキャパシティの増加が見られます。

一方、7月から9月のキャパシティが大幅に減少した空港は、東アジアに集中しています。具体的には、シンガポール、ソウル、台北、クアラルンプール、バンコクなど、大陸間の移動が多い大規模なハブ空港の回復が一段と遅れています。とりわけ出発座席数の減少幅が大きかったハブ空港は香港国際空港です。オーストラリア最大の空港であるシドニー空港も同様に、7月から9月の出発座席数が2年前に比べて85%減少しており、活気がありません。このほか、イギリスのロンドンヒースロー空港は59%減、ドバイのドバイ空港は51%減、米国のアトランタ空港は国内線中心のため16%減となっています。


世界中の航空会社、空港、その他の業界関係者は、Cirium Coreスケジュールデータを活用して回復状況を監視し、独自のビジネスチャンスを見出しています。データはいわば「新しい資源」であり、情報に基づいた意思決定を行うための原材料であると言われています。Ciriumのツールを使えば、比類のないほどの豊富な航空データを、ニーズに合わせて活用できます。

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