Category: 航空専門家の視点

  • 航空会社の旅客輸送を読み解く

    Will Livsey
    Will Livsey

    Will Livsey, Senior Product Manager, Cirium

    航空券の販売データには、旅客輸送の物語の一部が映し出されています。しかし、航空会社の旅客輸送の複雑さを理解するには、データをより深く掘り下げて調べる必要があります。航空券の購入のプロセス全体を包括的に理解することが求められるのです。マーケティング、運賃設定、設備、路線計画はすべて、航空券の購入サイクルの影響を受けています。

    航空券の購入検討から搭乗へと進んでいく各段階では、旅行者の体験に関する貴重な知見が得ることができます。こうしたデータは、航空界や旅行の専門家が、収益と旅客体験の分析、計画策定、改善を行うにあたって役立ちます。

    発券プロセスの内訳

    旅客輸送データは、購入検討、予約、発券、決済、搭乗の5つの主要素に分類されます。

    購入検討
    将来の旅行に繋がる最初の指標になるのは「購入検討」です。データの入手先は、何千ものウェブサイトでの旅行関連の検索データや、航空各社独自の販売時点情報管理システムです。Ciriumは、自社の旅行者検索データ(英語)を通じて、航空券の購入検討に関する洞察的知見を提供しています。

    予約
    航空会社の予約とは、旅客が将来のある時点で飛行機に搭乗するという意思を記録する行為です。予約は航空券が販売される前に行われます。こうした予約は、保留、変更、キャンセルが可能です。しかし、消費者向け予約ツールを使用する場合はたいてい、予約時に購入もする必要があります。それでも、企業の出張旅行者や旅行代理店は、すぐに購入しなくても予約をとります。

    発券
    航空券の予約が購入に至ると、指定された運賃の航空券が発券されます。発券は旅行代理店や航空会社が行います。航空券の再発行や交換は可能です。

    決済
    発券によって得られた資金が航空会社に渡されます。

    搭乗
    航空会社は、自社のフライトへの旅客の搭乗を記録しています。そうした記録は、紙またはデジタルの搭乗券をスキャンまたは回収して行います。空港や政府の多くは、航空会社に対し、搭乗手続きの段階からの搭乗券データを提出するよう求めています。

    発券データの種類およびソース

    MIDT(マーケティング情報データ転送)
    MIDTのデータは、Sabre、Amadeus、Worldspan Galileo、Abacus、TravelSkyなどの主要なグローバル・ディストリビューション・システム(GDS)からの予約で構成されています。このデータには、航空会社に直接予約したものを除くほとんどの予約が含まれています。

    MIDTは、予約の詳細、乗客情報、運賃の見積もりなど、豊富な情報を提供しています。これにより、アナリストたちは市場動向、需要パターン、そして競合他社の業績に関する知見を得ることができます。MIDTのデータは、アナリストが時系列で予約傾向の調査を行うことを可能にしています。出発地と目的地のパターンを調べることにより、航空会社は人気の路線を特定し、それに応じて座席キャパシティを調整することができるのです。

    TCN – Ticket Control Number(航空券管理番号)
    TCNは発券データの中核をなすもので、個々の取引の追跡と管理を容易にします。TCNは正確な記録管理を保証し、乗客の問題解決を後押しするとともに、財務取引の照合を支援します。収益担当マネージャーは、TCNを利用して航空券の売れ行きをきめ細かく分析し、運賃設定と収益戦略を最適化します。

    TCNデータは、特定の顧客の嗜好や旅行パターンを把握し、個別にカスタマイズしたマーケティング活動を促進する上で有益です。また、チケット取引の異常または不審なパターンを監視することで、不正行為の検出と防止にも利用することができます。

    ASP/BSP(エアライン・セトルメント・プラン/ビリング・アンド・セトルメント・プラン)
    ASPとBSPは、航空会社と旅行代理店の間で行われる金融取引の決済を容易にする業界全体のシステムです。これらのクリアリングハウス(情報センター)は、航空券販売の財務を合理化し、収益回収のための透明かつ効率的なプロセスを保証するものです。航空業界の財務状況を理解することに熱心なアナリストたちは、ASPやBSPのデータが、収益の流れやキャッシュフローを理解するのに役立つと考えています。

    民間航空当局
    こうした旅客輸送データは主に搭乗時に収集された情報で構成され、通常は米国運輸省、ユーロスタット、英国CAAのような各地域の民間航空当局によって集計されます。非常に正確な搭乗者データを提供しており、多くの場合、顧客からの苦情やサービス上の問題についても追跡しています。

    旅客輸送およびスケジュール関連のツールの詳細をご覧になり、Ciriumデータのデモをリクエストしてください。(英語)

    航空交通データの活用

    Ciriumの輸送データスケジュールデータ(英語)と併せて使用されることが多く、現地空港における旅行習慣や旅行者の特徴に関する知見を提供する人口統計データと地域データがそれに付加されています。

    Cirium Diio(英語)は、スケジュール、需要指標、予約データ、搭乗データなど、あらゆる領域のデータとレポートツールを提供しています。それらのデータやツールについては、SAASツールやAPIを通じてアクセスすることも、カスタムデータウェアハウス(英語)を通じて受け取り、空港や航空会社の既存システムに統合することも可能です。

  • アジア太平洋地域において定時運航率トップの航空会社3社が、ゴールまで三つ巴の競争を展開

    Mike Arnot, Juliett Alpha Media

    全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、On-Time Performance Award(定時運航率アワード)の創設以来、グローバルおよびアジア太平洋(APAC)のカテゴリーで常にトップまたはそれに近い位置を占めてきました。ANAは昨年、APAC部門でトップの座に輝き、日本の航空会社とそのチームにとって大きな誇りとなりました。

    2023年の結果をみると、僅差ではありますが、ANAの成功が続いていることが示されています。

    この年、APAC地域での競争は年間を通じて激しく、JALが僅差で2位に付けました。

    APACのOTPランキングでは年間を通じて、創業20年の歴史を持つ格安航空会社、タイ・エアアジア(FD)が卓越した実績を示し、何度もランクインしました。タイ・エアアジアの高い実績は、同社の計113,871便以上に及ぶ国内・国際線運航便数を考慮すると、とりわけ注目に値します。タイ・エアアジアは、すでに確固とした地位を築きつつも今後も成長し続けると見込まれており、顧客満足度の改善にも繋がる定時運航率の向上に努力しています。今回のランキングではANA、JALと並ぶ第3位の座を獲得しており、その差は“写真判定”が必要なほど僅かなものでした。

    これらの上位航空会社は、定時運航を真に極めているといえます。しかしながら、こうした航空会社の並々ならぬ決意を考慮すれば、2024年には各社ともさらなるレベルアップを目指すことでしょう。APACの航空会社3社間の統計的な差はほんの僅かです。私たちは、これらの航空会社が最高賞を分け合ってもおかしくはないと思っています。とはいえ、ルールはルールです。2023年は302,279便の運航便数で82.75%という素晴らしいOTPを記録したANAが、APAC部門のアワードを受賞したわけです。2023年にJALは308,302便で82.58%、タイ・エアアジアは113,871便で82.52%という優れた実績をそれぞれ記録しており、いずれも賞賛に値します。

  • 航空業界はインダストリー4.0に移行したのか?

    Holly Ballantine
    Holly Ballantine

    Holly Ballantine, Aerospace Key Account Manager, Cirium

    航空業界はインダストリー4.0に移行したのか?」と題されたCiriumの2023年最後のウェビナーでは、関係業界の専門家が、第4次産業革命を受け入れようとする航空セクターの進歩と課題について議論しました。私は光栄にも、ブエリング航空のプロダクト&インサイト担当リーダーであるArnau Guarch氏、SatairのEMEA担当セールス統括であるMartin Couet氏、MTUのセールス担当ディレクターであるAxel Homborg氏、そしてeCubeのCEOであるLee McConnellogue氏を交えたパネルディスカッションの司会を務めました。

    ディスカッションの冒頭ではライブ参加者に対し、航空業界のインダストリー4.0への移行がどの程度進んでいると感じているかについて、以下のように意見を求めました。

    航空業界におけるインダストリー4.0への移行はどの程度進んでいるでしょうか?

    今回のウェビナーでは、予知保全(プレディクティブ・メンテナンス)の機会、OEMと規制当局の協力の必要性、AIの初期段階での導入、進化する「ビッグデータ」の視点、2024年の予測など、いくつかの重要なテーマが取り上げられました。

    データ主導の効率化

    航空業界においてデータ主導の効率化ができるかどうかは、適切なデジタルプラットフォームを使用してその価値を引き出せる熟練した人材を確保できるかどうかに大きく依存しています。Martin Couet氏は、まずは各種ツールを効果的に使うためのトレーニングが不可欠であると指摘しました。

    Arnau Guarch氏は、ビジネスにおけるデータ活用に関するブエリングの手法について、以下のように説明しました。

    私たちは、数多くの取り組みを行っています。収益を最適化し、コストを削減するための取り組みです。それは、私たちのサービスを市場の需要に合わせて調整し、意思決定する際に役立ちます。特に、路線ネットワークの堅牢性を向上させ、定時性を改善し、運航の混乱を減らす上で重要な役割を果たします。

    Arnau Guarch

    予知保全とアフターマーケット活動

    もうひとつの重要な指摘は、メンテナンス事象やアフターマーケット活動をより適切に予測するためのデータの活用でした。航空会社は高度な分析技術とリアルタイムのモニタリングシステムを活用することにより、メンテナンスのスケジュールを最適化し、ダウンタイム(休止時間)を削減するとともに、安全対策を強化し、最終的には運航効率を向上させることができるのです。

    Axel Homborg氏は、MTUはデータを使ってエンジン資産について理解してもらい、翼に資産が残っている可能性や早期のショップビジット(整備工場への運搬)を必要とする可能性を文脈化することを通して、顧客を支援してきたと説明しました。さらにMTUは、より良好なトレーサビリティ、より明確なプロセス、より少ないペーパーワーク環境を実現するという目標を掲げ、エンジン資産のいわゆる“汚れた指紋”(修理などの記録)のデジタル化にも力を入れています。続けてHomborg氏は、寿命制限のある部品を考慮した場合には、土壇場のタイミングで部品をリクエストして高額の代金を支払うのではなく、その必要性を事前に予測し、当該の部品を予め確保しておくことにより、業界の可能性が広がると指摘しました。

    Martin Couet氏は、Satairがデータを活用して、適切な部品を適切な場所、タイミングで確実に顧客に供給する方法を説明しました。また、Guarch氏は、運航実績を向上させるためのブエリング航空のメンテナンスの取り組みに言及し、その実例を紹介しました。

    OEMと規制当局の連携

    航空業界がインダストリー4.0を達成しようとする際に大きな壁になるのは、業界が標準的アプローチの面で団結できるかどうかです。

    パネルディスカッションでは、航空業界においてインダストリー4.0の導入に向けた実質的な変革を実現するため、航空機製造企業(OEM)と規制機関の双方が、その変革を推進する際に責任を共有することの必要性について議論されました。すべての業務における安全基準を維持しながら、異なるステークホルダーのシステム間の相互運用性を確保するためには、最低限の業界標準を確立することが極めて重要になります。

    現在、航空関連業界の多くの関係者が直面しているのは、データのサイロ化の問題です。Couet氏は、協働のための計画を策定し、航空機の製造、運航、メンテナンス活動、規制遵守に関わるさまざまな事業体の間でシームレスなデータ共有を可能にする一元化されたシステムを構築するためには、すべての関係者からの多大な投資が必要になると述べました。

    Lee McConnellogue氏は、eCubeが常に顧客を中心に据えつつ、サイロ化を打破しようとしている方法について次のように述べ、その一例を紹介しました。

    どの企業も独自のデジタルプラットフォームを持っていますが、相互に情報交換する能力は非常に限られていました。eCubeは、顧客と効果的に交流するための適切なシステムの導入を保証しています。これはますます、ある種のAI機能を意味するようになっています。

    Lee McConnellogue

    AI導入の初期段階

    ウェビナーで議論された顕著なトレンドのひとつが人工知能(AI)で、航空業界への応用はまだ初期段階にあることが指摘されました。パネリストたちはAIが活用されているさまざまなユースケースを強調しましたが、その全員が認めたのは、特にシナリオプランニング活動においては、まだ実現に至っていない多くの可能性があるという点でした。

    AIが有望視されている分野には、天候パターンや空の交通渋滞の分析に基づく飛行ルートの最適化、パーソナライズされたサービスによる旅客体験の向上、エンジン性能データの分析による燃料効率の改善、手荷物処理やセキュリティチェックといったルーチン作業の自動化、インテリジェントなアルゴリズムによるより良い意思決定の実現などが含まれます。

    進化するビッグデータの視点

    私たちは議論の中で「ビッグデータ」という用語についても話し合いました。パネリストたちは、この用語が、それぞれの文脈や技術的成熟度により、さまざまな人々や企業にとって、それぞれ異なる意味を持つことを強調しました。

    McConnellogue氏は「ビッグデータ」に対する自らの見解について、次のように述べました。「私たちは長い間、さまざまな意味を込めてこの用語を口にしてきました。ほとんどの企業にとってそれは、より多くの収益を引き出したり、効率性を高めたりするのに十分なデータをつかむことです」 

    McConnellogue氏は、これをますます「信頼できる唯一の情報源」(Single Source of Truth)を提供するためのデータ収集の機会だと見なすようになっているといいます。それをモデルとし、迅速に対応できるような、信頼ある情報の源なのです。

    おそらく、明確な目的やそこから得られる実用的な洞察もなく、ビッグデータセットだけに集中するのではありません(これでは情報過多を招く可能性があります)。それよりもむしろ、組織は、具体的な目標を念頭に置きつつ、関連するデータセットを効率的に活用するために、より洗練されたアプローチの採用を検討できるようになるのです。

    「信頼できる唯一の情報源」 

    McConnellogue氏は、適切なデジタルプラットフォームを選択することの重要性に触れ、eCubeでの経験について次のように述べました。 

    「財務プラットフォームであれ、エンジニアリングやメンテナンスのための一般的なERP(企業・資源・計画)であれ、私たちeCubeは、次のステップに進むための新しいデジタルプラットフォームの選択の方法を模索し続けています。そのような製品を選択する際、私たちはますます、人工知能の世界にどのように組み入れることができるかを検討するようになっています。その世界とは、『信頼できる唯一の情報源』を確立することを可能にするだけではなく、組織にとっての『信頼できる唯一の情報源』を確立し、顧客やサプライヤーにとっての『信頼できる唯一の情報源』に効率的に繋げることを可能にするものです」

    また、自分が扱っているデータを信頼することも論点となりました。航空業界では、データソース次第で、ひとつの疑問に対して複数の答えが導き出されることがよくあります。

    業界として活用すべきデータの量は膨大であり、それを解放し、共有すること自体が障壁になっていると言ってもいいほどです。設計、製造から運用、メンテナンスに至るまで、航空機のライフサイクル全体を通じてシームレスなデータの流れ、すなわち「デジタルスレッド」を構築することは、当社の専門家が提起したテーマへの対応に役立つ可能性があります。航空業界の「5.0」を考えるより前に、このことが出発点になるに違いありません。将来的には、完全自動化された航空交通管制(ATC)の環境下でのシングルフライトデッキ運航や、現実世界をコンピューター上に再現するデジタルツイン(バーチャルなコピー)の利用が進むことでしょう。それまで私たちは、航空業界の「4.0」を実現し、理解する努力をしなければなりません。


    ウェビナーのオンデマンド視聴はこちらから

  • キャセイパシフィック航空のマンパワー需要

    Eric Tamang
    Eric Tamang

    Eric Tamang, Valuations Analyst, Cirium Ascend Consultancy

    新型コロナウイルスのパンデミックの最中、世界各国の政府が国境封鎖を開始したため、海外旅行は深刻な影響を受けました。香港のような地域は国内市場を持たないため、なおさら大きな打撃を受けました。

    Cirium Tracked Utilizationのデータによると、事実上、香港の航空会社であるキャセイパシフィック航空の1日あたりのフライト数(7日移動平均)は、2020年初めに前年同期比で90%減少しています。

    キャセイパシフィック航空は資金消費を減らすため、2021年10月、約600人のパイロットを含む計6,000人弱の雇用を削減しました。

    また同社は、イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、そして2022年末に最後に実施したアメリカを含め、海外のパイロット基地をすべて閉鎖しました。

    キャセイパシフィック航空の1日あたりの追跡フライト数(7日移動平均)

    ソース:Cirium Core, tracked utilization data filed January, 25, 2024

    新型コロナウイルス感染症が風土病(エンデミック)となった今、飛行機利用の需要は回復し、1日あたりの追跡フライト数はコロナ禍前の水準に戻っています。しかし、キャセイパシフィック航空は、パイロットの病欠により少なくとも42便をキャンセルしたため、2023年12月中旬以降は1日の追跡便数が減少していることが確認できます。

    Ciriumのデータベースを基に作成したこのグラフでは、キャセイパシフィック航空がなお、同社フリート全体の10%に相当する21機を駐機・保管していることも示されています。

    キャセイパシフィック航空のフリート

    ソース:Cirium Fleets Analyzer, 25 January 2024

    商用航空機が保管されている理由は数多くあります。CiriumのGround Events分析を見ると、本稿を書いている時点(2024年1月25日)では、キャセイパシフィック航空は重整備に入る機材を1機も保有していないことが分かります。それでも、主にパイロット不足の影響により、21機の機材を保管しているのです。

    キャセイパシフィック航空のメンテナンスイベント

    ソース:Cirium Ground Events Analytics, 25 January 2024

    2023年末、キャセイパシフィック航空は、2023年と2024年に、客室乗務員1,500人とパイロット候補生800人以上を含む計5,000人以上の従業員を雇用する計画を発表しました。しかし、従業員の雇用活動は難航しており、結果として2023年のクリスマス以降、フライトを相次いでキャンセルしています。

    キャセイパシフィック航空のパイロット組合である香港航空乗組員協会(the Hong Kong Aircrew Officers Association)は、コロナ禍に見舞われた2020年に会社側が下した決断の結果として、現在の上級パイロットの不足が生じたと述べました。あの当時、同社は「現場スタッフの給与の大幅かつ恒久的な削減」を実施しました。

    今年の中国の旧正月は2月10日~24日であり、もう間近に迫っています。

    この時期は旅行のピークを迎えますが、キャセイパシフィック航空は既に2月末までの期間、1日平均12便を削減しました。今後、さらなる欠航は避けられないようです。

    キャセイパシフィック航空は2023年の中間報告で、2024年末までに100%のキャパシティ水準に到達することを「確信している」と報告しています。しかし、これは従業員の採用活動が成功しなければ達成できそうにありません。


    Cirium Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントによる最新情報の全文をお読みください。Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントは、航空会社、航空機製造・メンテナンス企業、金融機関、保険会社、非銀行系投資家に緻密な分析、解説、予測を提供するエキスパートです。

    Cirium Ascend Consultancyのチームをご紹介します。

  • ミネアポリス・セントポールがリード、インドの空港の定時運航実績向上、中南米の空港が躍進

    Luis Felipe de Oliveria, ACI World Director General

    ACIワールドによると、2024年の世界の旅客輸送量は94億人に到達し、92億人だった2019年を上回る(2019年比102.5%)節目の年になると予想されています。

    増加要因としては、中国市場の再開と国内旅行の急増傾向の定着、サプライチェーンの混乱の漸進的な沈静化、インフレの鈍化などが挙げられます。

    下振れリスクは依然として存在するものの、私たちは国際空港評議会(ACI)のメンバーやパートナーの献身的な努力と貢献を定時運航の実績などによって引き続き実感しており、業界の将来に明るい希望を見出しています。

    定時運航率レビューにおける空港のカテゴリー分けは、現在のフライト活動の水準に基づくものです。アメリカの空港については、ミネアポリス・セントポール国際空港(MSP)がグローバル部門と大規模空港部門で首位に立つなど、目覚ましい結果を残しました。アメリカのソルトレイクシティ国際、デトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティ、シアトル・タコマ国際、フィラデルフィア国際の各空港は、グローバル部門でそれぞれ5、6、7、8位を獲得しました。 インドの空港は、定時運航実績を向上させて昨年の勢いを維持し、ラジーヴ・ガンディー国際とケンペゴウダ国際の2空港が、グローバル部門と大規模空港部門の両方でそれぞれ2位と3位に躍進しました。

    日本の空港は、大阪国際空港が中規模空港部門で1位、中部国際空港が小規模空港部門で2位となり、相変わらずトップクラスの定時運航率を示しています。

    中南米の空港は、すべての空港カテゴリーで大きく前進しています。 マリスカル・スクレ国際空港が小規模空港部門で首位、ホセ・ホアキン・デ・オルメード空港が同3位、トクメン国際空港、ホルヘ・チャベス国際空港、ブラジリア国際空港がそれぞれ中規模空港部門で2、3、4位、エルドラド国際空港がグローバル部門と大規模空港部門で4位と、中南米の空港がすべての空港部門で大きく躍進し、各部門グループのトップ5に名を連ねました。

    こうした輝かしいパフォーマンスは、これ以上ないタイミングで発揮されました。実は中南米およびカリブ海諸国は、ACIワールドにより2019年の水準を上回る最初の地域になると予測されていました。その輸送旅客数は2023年末までに、2019年の102.9%にあたる7億700万人に達しています。

    航空会社の実績が空港の実績に連動していること、またその逆も然りであることは明らかです。航空会社と空港が効率性の確立に向けて共に努力し、旅客と航空エコシステム全体に利益をもたらしていることを改めて示しています。各カテゴリーの上位空港の秀逸な定時運航実績を祝福いたします。私たちは引き続き、高い効率性、パフォーマンス、そして卓越した旅客体験を実現しながら、現在そして未来の旅行者を迎えるにふさわしい持続可能な航空エコシステムを構築していきます。航空業界のすべてのステークホルダーが世界中の旅客と地域社会のニーズに応えるために団結してこそ、私たちは一つのエコシステムとして成功を遂げ、新たな高みに到達することができるのです。

  • 航空業界の運航実績が堅調、2024年も明るい見通し

    Jeremy Bowen, Chief Executive Officer, Cirium

    航空業界はコロナ禍の低迷から抜け出し、力強い回復力と弾力性を発揮し始めています。2023年を振り返り、2024年の見通しについて考えてみると、各社ともに単に生き残っているというだけではなく、多くの面で成長していることは明らかです。

    2023年の定時運航実績レビューでは、航空業界の業績の回復ぶりが示されています。Ciriumにとっては、こうした復活を果たした業界のリーダーを表彰できることは喜ばしい限りです。

    デルタ航空は、84.72%という驚異的な定時運航率を達成し、2023年の「プラチナ賞」(2023 Platinum Award)を3年連続で受賞しました。この栄誉を特に称えたいと思います。

    Ciriumの定時運航率分析は、15年以上にわたり業界の定番の目安になっており、航空会社と空港の定時性を評価する上で極めて重要なものです。2023年は、世界の定期旅客便の運航数が3,200万便を超え、業界が大きく成長した年となりました。この増加は、座席キャパシティ(座席数)の急増とともに、航空業界が大きく成長していることを裏付けています。Ciriumは2024年も引き続き、包括的で偏りのない定時運航実績(OTP)データを提供していきます。その情報は、航空会社、空港、民間航空当局を含む広範な情報源から得たものであり、中立的な第三者の見方として提供しているものです。この分野の専門家である独立諮問委員会が、私たちのレポートの精度と公正さを保証しており、業界実績の状況を正確に反映しています。

    2023年のレビューでは、世界の旅客数が大幅に回復し、夏のピーク時には新型コロナウイルスによるパンデミック以前の水準をわずかながら上回りました。この回復は地域によってばらつきはあるものの、前例のない難局に直面していた業界にとって極めて重要なものとなりました。回復を牽引したのはアメリカと西ヨーロッパで、アメリカ国内市場の旅客収入は、2023年第3四半期までには2019年の水準を20%上回るようになりました。

    しかし、このような需要の急増には、競争の激化や運航コストの上昇など、相応の課題も伴いました。

    航空業界にとって重要なセグメントである出張旅行は、継続的なコスト管理の徹底と企業方針としての持続可能性への関心の高まりにより、引き続き回復が遅れています。このことは主要なグローバル・ディストリビューション・システム(GDS)にも影響を及ぼし、代理店経由の予約は2023年を通してパンデミック前の水準を下回ったままでした。

    2024年を見通してみると、業界の展望は慎重さを保ちつつも楽観的なものとなっています。ペースはやや緩やかになるものの、回復傾向は続くと予想されます。旅客数はパンデミック前の水準を若干下回るかもしれませんが、収益は順調に伸び、2019年の数字を上回る可能性があると予測されています。とはいえ、この楽観的な見方も、特に投入コストの上昇を考慮すれば、控えめなものとなります。業界が需給関係を効果的に均衡させる必要があるからです。

    アジア太平洋地域、特に中国は、遅ればせながら安定した回復の軌道に乗っており、世界的な需要増に寄与しています。この地域的な成長は2024年、世界の業界を牽引するという重要な役割を果たすと予想されます。

    それでも、この業界は新たな課題と不確実性に直面しています。パンデミックから学んだ教訓、そして現在進行中の地政学的緊張や環境面での圧力により、航空業界には戦略的思考と運航効率が求められる新時代が到来しつつあります。

    航空会社がこれらの要因にどのように対処するかが、来年の成功を左右する重要なポイントになるでしょう。

    結論を言えば、2023年に躍進を遂げた航空業界は、回復基調にあります。その一方、2024年については、前向きではあるものの慎重な見通しが示されています。

    Ciriumチームは、2024年にさらに重要な航空関連データを提供するのを楽しみにしています。航空業界が急速に変化する世界情勢に適応していく中で、この先にはチャンスと課題が待ち受けていることでしょう。

  • Ascend Consultancyによる今後の展望:先進航空モビリティ – 2024年1月の寸評

    Pascal Chui
    Pascal Chui

    Pascal Chui, Valuations Analyst, Cirium Ascend Consultancy

    先進航空モビリティ(AAM=先進エアモビリティ)市場は年明け以降、季節の移り変わりを反映して徐々に冷え込んでいます。昨今の金利の急上昇と資本コストの増加の影響を受けているのです。それでも、そのような逆風にもかかわらず、2023年12月31日現在では、Ciriumのデータベースに記録された発注コミットメントおよび正式発注の数は計13,000件以上に増加し、過去12ヵ月で3,700件以上が確保された形となっています。

    データの対象範囲は以下の通りです。

    航空機市場グループ航空機メーカー機種注釈
    Regional Electric – SmallLYTE AviationLA-44 Skybus 
    Business Electric – Multi EngineElectronElectron 5 
    Business Electric – Multi EngineAirflowM200 
    Business Electric – Multi EngineBye AerospaceeFlyer 800 
    Business Electric – Multi EngineEviationAlice 
    Business Electric – Multi EngineElectraElectra eSTOL 
    Business Electric – Single EngineVoltAeroCassio 330 
    Business Electric – Single EngineBETA TechnologiesCX300 
    eVTOL – UAV/UASBETA TechnologiesALIA-250c 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangVT-30 
    eVTOL – Urban Air MobilityJoby AviationS4 
    eVTOL – Urban Air MobilityManta AircraftANN2 
    eVTOL – Urban Air MobilityWisk Aero LLCCora 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloConnect 
    eVTOL – Urban Air MobilityTCab TechE20 eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityOverair IncButterfly 
    eVTOL – Urban Air MobilityAerofugiaAE200 
    eVTOL – Urban Air MobilityPlanaCopterPlane CP-01 
    eVTOL – Urban Air MobilityDuFour AerospaceAero3 
    eVTOL – Urban Air MobilityAutoFlightProsperity 1 
    eVTOL – Urban Air MobilityBETA TechnologiesALIA-250 
    eVTOL – Urban Air MobilitySkyDriveSD-05 
    eVTOL – Urban Air MobilityEHangEH216 
    eVTOL – Urban Air MobilityJaunt Air MobilityJourney 
    eVTOL – Urban Air MobilityVolocopter GmbHVoloCity 
    eVTOL – Urban Air MobilityArcher AviationMidnight 
    eVTOL – Urban Air MobilityAscendance Flight TechnologiesAtea 
    eVTOL – Urban Air MobilityOdys AviationOdys eVTOL 
    eVTOL – Urban Air MobilityXTI Aircraft CompanyTriFan 600 
    eVTOL – Urban Air MobilityLilium GmbHLilium Jet 
    eVTOL – Urban Air MobilityVertical Aerospace Group LtdVX4 
    eVTOL – Urban Air MobilityEve Air MobilityEve 
    Regional Electric – SmallMaeve AerospaceMaeve 01 
    Regional Electric – SmallJektaPHA-ZE 100 
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-19Programme Cancelled
    Regional Electric – SmallAura AeroERA 
    Regional Electric – SmallHeart AerospaceES-30 

    eVTOL – アーバンエアモビリティ(UAM)

    市場では今、Eve Air MobilityVertical AerospaceのVX4を筆頭に競争が過熱しています。注目すべきは、本格的な試験飛行を行なっていないにもかかわらず、Eveが驚くべき数の受注を獲得し、投資家からの強い信頼を得ていることです。同時に、Archer、Jaunt Air Mobility、Ascendance Flight Technologies、Volocopter、AutoFlightといった新興企業も注目を集めており、それぞれ過去1年間に約200機の受注を獲得しています。こうしたeVTOL(電動垂直離着陸機)タイプへの関心が高まっているのです。

    Top 15 eVTOL types with most commitment orders

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    その受注状況にはeVTOLへの強い意欲と戦略が反映されています。特にアメリカを中心とした北米からの受注が3,300件を超え、市場を大きくリードしています。次いで活況を呈しているアジア太平洋市場では、とりわけインド、中国、日本が牽引し、計2,300件近くの受注がありました。ヨーロッパの総受注件数は約1,700件で、イギリスが最大のシェアを占めています。中南米も、ブラジルを中心に計550件という大量の受注件数を記録しました。

    Regional Distribution of Order Commitment for eVTOL

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    EHangが初めて型式証明を取得

    2023年10月、EHangは無人eVTOLであるEH216-Sについて、中国民用航空局(CAAC)から世界初の型式証明を取得し、大きな目標をひとつ達成しました。EHangは、空中での観光体験を一変させることを目指しています。EHang EH216のオーダーブックには、インドネシアのPrestige Aviationの101機、中国のShenzhen Boling Holding Groupの95機、マレーシアのAerotree Flight Services Sdn Bhdの61機、日本のAirX Inc.の50機を含め、アジア全域のさまざまな一般航空やビジネス航空の運航会社からの発注コミットメントが含まれています。

    EHang EH216 Order List

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    ビジネス電動機 – マルチエンジン

    Top regional or business electric types with the most order commitments

    ソース:Cirium Fleet Analyzer, as at 31st December 2023

    ビジネス電動機の分野では、ElectraのeSTOLが、ヘリコプターのリース会社であるBristow Group(ブリストウ・グループ)のような著名なクライアントをはじめ、計1,100件以上の受注を獲得しています。しかし、これらの受注コミットメントの大半は、発注主などの内容が公表されていません。ElectraのeSTOLは、昨年11月11日に初の全電動テストフライトを、次いで11月19日にはハイブリッド電動フライトをそれぞれ実施しました。eVTOLとは異なり、ElectraのeSTOLはその先進的なブローンリフト技術により、離発着の際、従来の滑走路の1/10の長さしか必要としません。この機能により、ElectraのeSTOLは、従来の滑走路用のスペースを確保できないような場所へのフライトを提供することが可能となるため、潜在的な航空機利用の旅行目的地と運航の柔軟性を大幅に拡大することができます。


    Cirium Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントによる最新情報の全文をお読みください。Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントは、航空会社、航空機製造・メンテナンス企業、金融機関、保険会社、非銀行系投資家に緻密な分析、解説、予測を提供するエキスパートです。

    Cirium Ascend Consultancyのチームをご紹介します。

  • シリウム、2023年フリート予測で2024年の年間旅客機納⼊額の1,000億ドル超えを予想

    • 2023年から2042年までの間に、45,200機の新規旅客機が3.2兆ドルの⾒積もり額で納⼊されると予測されています。
    • 2022年との⽐較で、貨物輸送能⼒は年率4.1%増加すると予測されています。
    • エアバスとボーイングの2社による⺠間航空機OEMの以前とした優勢体制により、2042年までに航空機の89%が2社により納⼊されるとの⾒込みがあります。

    ロンドン2024年1月11日 — 世界で最も信頼性の⾼い航空分析の情報源を提供するシリウムは、シリウム・アセンド・コンサルタンシーを通して2023年フリート予測を発表し、2024年の年間旅客機納⼊額が1000億ドルを超える⾒通しであることを発表しました。

    発⾏11年⽬を迎える同予測では、貨物輸送能⼒は2022年と⽐べて年率4.1%増加し、今後20年間で、1,060機の新造の航空機と2,530機の旅客機からの改造を含む、3,590機の貨物航空機が供給されるだろうと予測しています。

    エアバスとボーイングは、2042年まで全航空機合計の89%を納⼊するとして、⺠間航空機製造分野の優位性を引き続き維持するでしょう。

    フィギュア 1:Forecast deliveries 2023-2042

    シリウムのフリート予測の能⼒評価モデルは、航空機に対する将来の需要について独⾃の⾒解を提供し、さらに、単⼀通路型の航空機の⽣産量を増加させることは妥当かどうか、A321neoと737-10、A350-1000と777-9、A350Fと777-8Fのシェアはどうなるのか、エアバスとボーイングが市場のおよそ90%を占めると予測されている中で、いつ新しいプログラムを導⼊できるか、また中国の新しいプログラムはどの程度の市場シェアを占めることになるのか、といった質問を提示しています。

    地域的な視点から⾒ると、アジアが引き続き主導権を握ることになり、中国は8%を超える最も⾼い旅客輸送能⼒の成⻑率を示すと予想されています。

    これにより、中国は世界全体の旅客輸送量の19%を占め、合計で24%を占める他のアジア太平洋諸国を上回り、単独の国としてはこの地域で最⼤の国となるでしょう。

    北⽶の航空会社が20%、欧州が18%でこれに続きます。中東の航空会社は7%を占めますが、より⾼い価値を持つ双通路型航空機を豊富に導⼊しているため、⾦額ベースでは11%にまで上ります。

    フィギュア 2:Forecast new deliveries 2023-2042 by airline region

    シリウムのフリート予測はシナリオ・ベースのアプローチを採⽤しており、専⾨家による解説と分析を組み合わせながら、⼊⼿し得る最新の情報を調査することを重視しています。今年の予測は、アセンドの2022年回復シナリオ7の最近調整されたバージョンに基づいており、その詳細はフリート予測レポートに記載されています。

    エグゼクティブサマリーのダウンロードは、こちらをご覧いただくか、シリウムまでご連絡いただき詳細レポートを購⼊してください:お問い合わせ | Cirium (シリウム)


    シリウムについて

    Cirium®は航空分析の情報源として世界で最も信頼されています。強力なデータと最先端の分析を提供し、幅広い業界関係者をサポートしています。航空会社、空港、旅行会社、OEM、金融機関が業務を最適化し、十分な情報に基づいた意思決定を行い、収益増大を加速させるために必要となる明瞭性とインテリジェンスを提供しています。

    Cirium®はRELXの事業であるLexisNexis® Risk Solutionsの一部であり、専門家およびビジネス顧客向けに情報をベースとした分析と意思決定ツールを提供しています。RELX PLCの株式は、ロンドン、アムステルダム、ニューヨークの各株式市場において、以下のティッカーシンボルを使用して取引されています。ロンドン:REL、アムステルダム:REN、ニューヨーク:RELX

    詳しくは、LinkedinでCiriumをフォローしていただくか、ウェブサイト(cirium.com)をご覧ください。

    本記者発表⽂の公式バージョンはオリジナル⾔語版です。翻訳⾔語版は、読者の便宜を図る⽬的で提供されたものであり、法的効⼒を持ちません。翻訳⾔語版を資料としてご利⽤になる際には、法的効⼒を有する唯⼀のバージョンであるオリジナル⾔語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

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  • Business Aviationの一部タイプの基準価値および予測価値(残存価値)の大幅な改定について

    Cirium Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントによる最新情報の全文をお読みください。Ascend Consultancyのアナリストとコンサルタントは、航空会社、航空機製造・メンテナンス企業、金融機関、保険会社、非銀行系投資家に緻密な分析、解説、予測を提供するエキスパートです。

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    Daniel Hall, Senior Valuation Consultant, Cirium Ascend Consultancy

    ビジネス航空(ビジネスアビエーション)セクターはここ数年間、一貫して成長と成功の物語を紡いできました。フライト活動は活発化し、機材の受注残も増え、販売用の在庫機数は減少しています。そして、私たち鑑定士にとって注目すべきは、2021年第1四半期から2023年末にかけて、市場価値が著しく上昇していることです。この原稿を書いている時点(2023年12月)では、ビジネスターボプロップ機、軽量機、スーパーミッドサイズ機の各カテゴリーの市場価値は、一定機齢のフリート加重ベース(つまり資産減価償却の影響を除いて算出)で、平均48~71%も上昇しています。下のグラフでは、そのような価値の変動状況が機材サイズ区分のカテゴリー別に示されています。グラフには驚くような数値が示されていますが、ここで根本的な疑問が生じてきます。つまり、このような市場価値の上昇を受けて、残存価値をどう正確に予測するのか、そして市場がよりバランスの取れた水準に向かって正常化した場合、これらの数値の下振れリスクはどうなるのかという疑問です。

    ソース:Cirium Values Analyzer, Cirium Fleets Analyzer. Market Value changes are a fleet-weighted average, and on a constant age basis for aircraft up to 25 yr old, Large (removed for analysis) includes high-% low-$ changes to older types including those to small niche variant fleets.

    一般的には、ここで基準価値(ベースバリュー)のコンセプトが登場します。国際輸送航空機貿易協会(ISTAT)は基準価値について、「基準価値とは、需要と供給の妥当なバランスが保たれ安定した市場における航空機(またはその他の航空関連資産)の価値についての鑑定人の見解である……(後略)」と定義しています。Cirium Ascend Consultancyで私たちは、将来の残存価値を予測するために基準価格を使用しています。Cirium Ascend Consultancyでは、市場価値と基準価値を(比率にして)比較することにより、当該資産タイプの市場がどのような状況にあるのかを一定程度、示すことも行っています。市場価値は鑑定士たちの予想をはるかに超えた水準で上昇していましたが、2023年半ばまでには、市場に顕著な変化が起きていることが次第に明らかになってきました。これは通常の景気サイクルではなく、価値が2020年初頭に最後に見られた水準まで下がることはないとみられます。

    そこで私たちは、上記の機材サイズカテゴリーに焦点を当てつつ、現在および将来の基準価値予測を見直すプロジェクトに着手しました。

    ロングレンジ(長距離)とビズライナーのカテゴリーについては、見解を修正しないことにしました。これらのカテゴリーでは他と同水準の価値変動は見られず、現行の予測は投資家へのガイダンスとして弾力性があり、かつ正確であることが証明されているからです。

    これらの改定作業においては、以下の通り、私たちの判断を導いてくれたいくつかの基本事項があります。

    • 私たちは依然として高インフレの環境下にあります。このため、新規の機材価格設定に大きな変化が生じ、10年以上ぶりに10~30%の幅で価値の改善が見られました。以前は、その当時のインフレにもかかわらず、新規設定の機材価格は前年比ベースで比較的安定していました。
    • 機材メーカー各社の受注残は、ほとんどのモデルで2~3年分となっており、かつてない水準にまで伸びています。これにより、過剰生産や”ホワイトテール”(特定の購入見込み客なしに製造される機材)が発生しないことが保証され、新機価格での利益が維持されることになります。
    • 現在は労働力、パーツ、専門技術などの面でサプライチェーンが圧迫される環境が続いており、このことが生産率を上げる能力を複合的に抑制しています。そのため前述のように、旺盛な需要がある中で安定した供給を維持することは、引き続き価格設定と価値の保持に役立っています。
    • この業界では(ビジネス航空の)新規利用者が多くなっており、フライト活動は減退しているものの、なお2019年比で15%増の水準にあります。現在、多くの機材がフラクショナル(分割所有)に移行しており、このセクターのフリート数シェアは拡大しています。こうしたフラクショナル・ユーザーは、将来的に機材の個人購入者になる可能性があります。
    • Cirium Ascend Consultancyの見解では、たとえ需要が軟化したとしても、メーカーは新規価格を下げることはできないとみられます。エンジン、アビオニクス(航空機に搭載される電子機器)などのサプライヤーはOEMへのコストを引き上げており、これが反転することはほぼあり得ません。こうした価格上昇は今後も続くと予想されます。
      • 新造機材や低機齢の機材の価格上昇は、トリクルダウン効果があるため、価値曲線全体に寄与します。これにより事実上、多くの機材タイプでも見られるように、スタート時点で最低10~30%の基準価値の向上が生み出されます。

    ここで私たちは、市場が引き続き正常化し、需給が均衡するにつれて、市場価値(マーケットバリュー)が下落すると予想されることを強調しておかなければなりません。したがって、基準価値の上昇は、これまでのところわずかです。しかし現在、基準価値に対する市場価値の比率(MV・BV率)は、その多くが概ね120~130%の水準になっており、多数の機材タイプが150%以上になっていた状況からは大きく変化しています。

    変化について

    私たちは、75ほどのビジネス航空の機材バリエーション(バリアント)に対して変更を加えました。平均すると、フリート加重平均でみた現在基準価値(Current Base Value)に対する私たちの見解の変動幅は32%増となります。その分布の範囲は、マイナス6.5%からプラス156%までとなっています。ほんの一握りの機材バリエーションに対しては、この大幅な見直しの一環として必要になったため、小さなマイナスの変更を加えました。上昇率が著しく高くなった機材モデルは、より安いドルの基準価値から乖離しています。例えば、ビーチジェット400の旧モデルでは、以前の価値は100万ドル以下でした。下の分布チャートが示すように、変化の約3分の2は35%以内の幅でした。

    ノート:outliers (negative & very large increases) not included.

    各バリアントについて、以下の点を再評価しました。

    • 現在基準価値(起点)
    • 残存価値曲線(Residual Value Curve) – 市場価値保持の実績と競争環境に基づく。
    • 生産サイクルにおける位置づけ – 私たちは機材タイプのバリアントについて、その独自の技術サイクルに基づき、評価を若干修正しました。
    • 残存フロア(下限)価値 – 当社による機材のパーツアウトまたはスクラップの推定価値。
    • 変更はオンラインで2023年9月1日から12月2日まで有効。
    • HondaJet(ホンダジェット)については、「エリートII」の導入に伴い2023年5月に変更したため、以下では取り上げていません。

    基準価値のインフレ – 2024年1月1日

    この見直し(および以下に示す数値)とは別に、毎年1月1日にすべての航空機の基準価値に対しインフレに関する変更が行われています。ここ数年、私たちは毎年末に実際の米ドルCPI(消費者物価指数)に基づくインフレ状況を評価し、その上昇分を新年の価値に適用しています。2024年については、現在および将来のすべての基準価値に3.1%のインフレ率を適用しました(通常の方法)。この率は、当社の通常の方法として、2023年11月30日に終了する12ヵ月間のアメリカのCPI-U指数(全都市、全商品、季節調整なし)を反映させたものです。また、すべてのメンテナンス費用に4.1%のエスカレーション(インフレ率より1%高い)を適用し、フルライフの価値が維持されるようにしています。前方曲線に対応する将来のインフレ率の初期値は、(ユーザーが別途選択しない限り)2%のままです。

    2023年12月時点の変動状況の概要は以下の通りです。

    航空機メーカー機材のタイプまたはバリアント現在基準価値の一定機齢フリート加重ベースの変化率(%)
    BOMBARDIERChallenger 30034.4%
     Challenger 35018.5%
     Challenger 35004.9%
     Challenger 60479.2%
     Challenger 60552.4%
     Challenger 65025.5%
     Learjet 4035.0%
     Learjet 40XR48.6%
     Learjet 4570.5%
     Learjet 45XR43.9%
     Learjet 6059.5%
     Learjet 70-2.6%
     Learjet 757.4%
    DassaultFalcon 20002.0%
     Falcon 2000DX25.4%
     Falcon 2000EX1.2%
     Falcon 2000EX EASy25.7%
     Falcon 2000LX13.1%
     Falcon 2000S3.5%
     Falcon 2000LXS6.8%
    EmbraerLegacy 60046.6%
     Legacy 650-0.3%
     Legacy 45028.1%
     Legacy 50013.9%
     Phenom 10030.3%
     Phenom 30016.7%
     Praetor 50015.4%
     Praetor 6002.8%
    GulfstreamG15016.1%
     G20039.4%
     G28019.9%
    PilatusPC-12 41 / 45 / 4738.4%
     PC-12 NG26.4%
     PC-12 NGX8.9%
     PC-249.6%
    Textron Aviation (Beechcraft)King Air B20037.1%
     King Air B200GT13.2%
     King Air 25026.2%
     King Air 2607.3%
     King Air 35033.6%
     King Air 350ER17.7%
     King Air 350i25.2%
     King Air 3608.4%
     King Air C90B28.5%
     King Air C90GT25.5%
     King Air C90GTi25.9%
     King Air C90GTx15.0%
    Textron Aviation (Cessna)Cessna 208 Caravan39.9%
     Cessna 208B Grand Caravan37.4%
     Mustang40.2%
     CM29.6%
     CJ148.3%
     CJ1+73.6%
     CJ2+56.1%
     CJ259.5%
     CJ325.9%
     CJ420.4%
     Excel58.4%
     XLS79.1%
     XLS+53.8%
     Latitude-6.5%
     Sovereign49.0%
     Sovereign+10.3%
     Longitude28.8%
     X40.5%
     X+3.2%
    Textron Aviation (Hawker)Hawker 400 / Beechjet 400156.1%
     Hawker 7507.9%
     Hawker 800XP100.9%
     Hawker 800XPi43.3%
     Hawker 850XP39.9%
     Hawker 900XP30.5%
     Hawker 400062.9%