Cirium Q2 2022 Values Briefing

アセンド by Cirium, 航空専門家の視点, 航空機投資, 航空機業界の動向予測

Ascend by Ciriumの「2022年第2四半期 価値の概況」ウェビナーで得られた知見

July 12, 2022

パネルディスカッションでは、資産価値やリース料率に関する最新情報を提供した後、基本的なトレンドについて議論し、今後数カ月およびそれ以降の市場の見通しを探りました。

Ascend by CiriumGeroge Dimitroff(バリュエーション統括)は、Paul Sheridan氏(元AMCK Aviation CEO)、Ascend by CiriumのSyed Zaidi(トップ航空アナリスト)とSara Dhariwal(バリュエーションマネージャー)を迎え、「2022年第2四半期 価値の概況」ウェビナーを開催しました。パネラーは資産価値とリース料の最新情報についておさらいした後、その基本的なトレンドについて議論し、今後数ヵ月およびそれ以降の市場の見通しを探りました。Ciriumの最新データを活用しながらライブ配信で行われたこのウェビナーでは、主に以下のような知見が得られました。

シングルアイル機市場は順調に回復してきている

George Dimitroffはまず、現在の市況の最新情報について説明しました。商用航空は、Ascendの予測に沿って回復し続けています。2022年1月に新型コロナウイルスのオミクロン変異株が引き起こした短い停滞期がありながらも、世界の機材キャパシティは今年半ばまでに、2019年の80%の水準にまで戻ると予想されています。フライトのキャンセル数は減少し、機材利用率は上昇しています。持続する回復基調を反映して、駐機保管中の機材数も減少しています。

とはいえ、回復状況は不均一であり、短距離路線が再び伸びているのに対し、長距離路線は停滞しています。そのため、需要はシングルアイル機に偏っており、ここ12ヵ月間の基準価値(ベースバリュー)に対する市場価値(マーケットバリュー)の比率(MV・BV率)は、ツインアイル機に比べて大きく改善しています。

「ナローボディ機のMV・BV率の加重平均は、徐々に上昇して0.9台の高さになっています。これは、A320neoと737Maxのフリートが増大し、価値が概ね基準価値のレベルで安定していることによるものです」と、Georgeは説明しました。「これらのフリートが増加することで加重平均は上昇するわけですが、A320ceoと737NGの価値も一部回復してきています」

シングルアイル機市場の回復傾向はリース会社の間では歓迎されている、とPaul Sheridan氏は説明しました。「この傾向は、機材をより多く運航する余裕がある航空会社が、今夏と2023年のスケジュールを計画し始めた今年の年明けに見られるようになりました。ダブリンなどのリース会社事務所からは、安堵のため息が聞こえてきます。シングルアイル機のフリートは、ほとんどのリース会社において事業基盤となっているのです。ここ数年のリストラや再リースにより自己資本利益率が低下し始めた今、シングルアイル機のリース再開の目途が立ったことで、リース会社はその移行の際にお金をかけずに、より良い計画を立てられるようになります」

渡航制限は引き続きツインアイル機の価値を押し下げている

アジアにおける新型コロナウイルス関連の渡航制限は、地域内の輸送量の回復を遅らせ続けています。長距離路線の3大市場のうち、太平洋横断路線および欧州―アジア線の2市場の需要が、ツインアイル機が優勢な地域と結びついているため、結果として、ツインアイル機の価値の回復が最も遅い状態は続くでしょう。

しかし、ツインアイル機の価値は、特定の市場における長距離路線の運航状況の回復に伴い、安定してきています。際立った回復ぶりを示しているのは北大西洋路線です。2022年2月以降急速に実績が改善し、欠航もほとんどなく、価値は2019年の84%の水準に達しています。

「北大西洋路線の渡航制限は、ほぼ完全に撤廃されています。渡航の壁が取り払われれば、長距離の飛行機利用が復活することを如実に示しています」と、Georgeは見解を述べました。「私たちは、そのような制限緩和の動きが特にアジア太平洋市場でも見られると期待しています。輸送量も、北大西洋路線と同様に伸びていくでしょう」

現在のようなツインアイル機の価値回復の遅れは前例がない、とSheridan氏は指摘しました。「ワイドボディ機は、ナローボディ機より低迷から抜け出すのが難しいと考えておかなければなりません。回復に時間がかかり、価値はさらに下落し、運航配備もより難しくなるでしょう。ある意味当然のことなのですが、渡航制限により状況が悪化しているのです」

ワイドボディ機の価値はパンデミックにより恒久的にダメージを受けてきたものの、アジアでの渡航制限の撤廃が重要なファクターとなるというのが、パネラーの中で一致した意見でした。「国境が再び開き始めれば、迅速に回復する可能性があります。旅行へのニーズは存在するため、単に障壁さえ取り除ければよいのです」 と、Syedは指摘します。「パンデミックが始まったころ、ワイドボディ機市場が既にやや軟調だったことが、影響をより深刻化させましたが、今は回復基調にあります」

貨物専用機市場は堅調であるものの、価値はピークアウトした可能性がある

Ciriumのデータは、パンデミックの発生以来、稼働中のナローボディ貨物機のフライト数が3倍となり、ワイドボディ貨物機のフライト数が60%増になったことを示しています。機材利用率は依然として高く、パンデミック初期には15~25%増と急伸しました。運航会社が航空貨物需要から利益を得ようとする中、その増加状況が収まる気配はありません。

この需要は、貨物専用機の納入も加速させています。貨物機へのコンバージョン(改造)の件数はひと月あたり15~20件と記録的な水準で、改造の順番待ちの期間も2年以上となっています。パネラーは、貨物専用機の価値の見通しについて議論しました。そして、貨物市場は2019年と比較してなお比較的堅調ではあるものの、このセクターの価値はピークアウトした可能性があると結論付けました。

「航空会社は、貨物機をすぐに確保するために割増価格を支払っていました。なぜなら、フィードストック(供給材料)機材を入手し、改造のためのスロット(枠)を2年間待たなければならないとした場合、貨物事業から得られる極めて高い2年分の収益を失うことになるからです」と、Georgeは説明しました。「しかし、より多くの機材を工場で改造し、より多くの貨物機を納入することで、その供給量は増え、徐々に需要が満たされ、需給バランスが取り戻されていきます」

「こうした機材の供給量は多く、多くのリース会社が市場に参入してきました。そのため、競争は激化しており、いずれはリース料に低下圧力がかかると思われます」 と、Syedは付け加えました。「一部の機材の価値については、競争状態の緩和が期待できる領域に入り始めています」

Sheridan氏はまた、特にナローボディ貨物機の市場に起きている、より根本的な変化についても指摘しました。「新しいアイデアも出てきているほか、非常に大きな3~4社のオペレーターが撤退し、リース会社が機材を供給できる有望な航空会社が増えています。ナローボディ貨物機市場は、この水準で持続できる可能性が高まっています」

もともとはロシアの航空会社向けであった在庫機材が、新たな納入先を見つけつつある

ウクライナ紛争が始まって3ヵ月、リース会社がロシアの航空会社から機材を回収する期限から2ヵ月がそれぞれ経過した今、ようやくロシアが国際航空市場から突然切り離されたことによる影響を評価できるようになりました。数機のリース済み機材が急遽返却され、ロシアへの新規納入が停止されたため、市場には予期せぬ供給要因が生まれました。しかし、本来はロシアに向かう予定だった受注残の機材は、かなり迅速に他の航空会社に納入されています。

紛争が始まる前、ロシア系航空会社に納入されることが確定していた機材の受注残は151機で、うち39機は海外のリース会社からリースされる予定でした。これらの契約が破棄され、近い将来の納入が叶わなくなったため、機材の受注残は112機に縮小しました。これは主に、OEMがより遠い将来に納入予定の機材を、自社の注文帳にまだ残しているためです。

「私たちが把握しているのは、近い将来に納入される航空機のうち、特にシングルアイル機については、非常に多くの機材が新たな顧客に転売されたということです」と、Georgeは説明しました。「燃料価格の高騰、需要増、サプライチェーンの問題などがある中で、neoやMAXを確保することは、短期的には非常に魅力的なことです」

リース会社は、需給を変動させる紛争の影響を感じてはいるものの、考え方を改め始めています。

「ウクライナ紛争が投資家のカントリーリスクに対する見方に影響を与え始めるかどうか、国ごとに違いが生じるかどうか、さらにそれが価値に影響を与えるかどうかを見極める必要があります」 と、Sheridan氏は述べました。「そうしたやり方は、リースの世界ではしばらく間、行われてきませんでした。まだしっかりと浸透していないのです」

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