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Plane taxiing across Osaka Itami International airport

Ascend Consultancy, 航空専門家の視点

Ascend Consultancyによる今後の展望:日本で日はまた昇るか?

June 14, 2022

新型コロナウイルスのパンデミックに対する措置や入国要件が最近になって緩和され、日本の商用航空部門がようやく今、回復への道を歩み始めました。

Dennis Lau, Ascend by Cirium

筆者:Dennis Lau, Senior valuations analyst at Ascend by Cirium

日本は、多くの人から「日出づる国」として知られています。しかし、世界の他の国々と同様、この国でもコロナ禍の影響がなお実感されます。新型コロナウイルスのパンデミックに対する措置や入国要件が最近になって緩和され、日本の商用航空部門がようやく今、回復への道を歩み始めました。

パンデミック中、渡航制限が一部に適用されてきましたが、国内線の飛行機利用への影響は比較的小さなものでした。Ciriumのデータによると、月間予定国内フライト数が最も少なかったのは、2021年4月でした。この月に予定されていたフライト数のうち、実際に運航されたのはわずか56%でした。パンデミック中は、季節的な変動が非常に顕著に表れました。伝統的な繁忙期である4月下旬から5月初旬にかけてのゴールデンウィーク(GW)と、夏、冬のピークシーズンには、需要が急増しました。レジャー目的の海外旅行については数週間前まではほぼ問題外の状況でしたが、日本人は国内の旅行先で休暇を過ごすことには意欲を見せていました。

2021年半ば以降、航空各社は国内線のスケジュールをさらに調整して需要の変化に対応し、運航のキャンセルを少なくしました。直近の2022年4~5月のGW中、予定フライト数と運航フライト数は、パンデミック前とほぼ同じ水準の計約70,000回に回復しました。この時期、東京の羽田空港には出発便の旅客が大挙して訪れ、大混雑となったと報告されました。

日本発着の国際線の飛行機利用は、国内線とはまったく異なる状況でした。パンデミックの初期の段階から、日本人以外の日本への入国は禁じられたため、日本発着の国際線の予定旅客フライト数は、対前年比で最大90%も削減されてしまいました。フライトの完了率は比較的高かったのですが、一部の航空会社は、自社の旅客定期便を活用し、旅客なしで貨物専用便を運航していました。

日本は2022年6月10日から、条件としていくつかの制限を設けつつ、一日につき20,000人の外国人の入国を許可します。航空各社は、まだパンデミック前の水準近くまでは運航を再開していませんが、そのほとんどは、夏の最盛期にはフライトを再開すると発表しています。とはいえ、運航頻度はなお削減されたままです。

パンデミック下の困難に直面しながらも、日本の航空会社は前向きな姿勢を保ち、自社のサービスを売り込み続けようとしました。例えば、遊休機材をグルメストランや結婚式場に転用したり、人気の機内食メニューの食事をパッケージに入れて一般向けに販売したりしました。また、一般公開イベントを開いたり、飛行機に乗れなくなって心から寂しく思っている人向けに、日本上空を観光飛行するフライトを運航したりしました。

パンデミック前、日本は東アジア地域の人々にとってとても人気のある訪問先でした。例えば、2019年には、中国からは950万人以上、韓国からは550万人、台湾からは490万人、香港からは230万人が訪れています。こうした人気を支えている一つの主要な原動力は、各地域発着のフライトを幅広く運航する、格安航空会社(LCC)を中心とした航空会社です。LCCは、コロナ禍による需要激減の影響を大きく受けてきました。日本のほとんどのLCCが、すべての国際線フライトを休止しました。国境が再開されていく中で、LCCのフライトは、日本市場の回復という点で大きな役割を果たすことになるでしょう。

2019年には、日本人の海外旅行者数は2000万人を超えていました。渡航制限が北米などの一部地域で緩和されてきましたが、人気の目的地の多くは事実上、まだ閉鎖されたままです。

日本市場で今後、注目されるのは、中・長距離ルートでツインアイル機を使用する“ハイブリッド”のLCCの立ち上げです。

日本航空系列ジップエアは、パンデミックの最中の2020年に運航を開始しました。親会社からの強力なバックアップを得て、市場でのブランド力を確立しつつあり、渡航制限が緩和されるにつれて事業を拡大させる勢いです。日本航空のライバルの全日空もこのハイブリッド・セクターの可能性に着目し、新ブランドのエアージャパンを2023年に就航させようとしています。こうしたハイブリッドLCCの航空会社は、主に日本人旅客向けにサービスを展開しますが、将来の成功のカギを握るのは、国際的な認知度を高められるかどうかです。

日本市場、特に日本の国際線市場が本格的に回復するまでには、まだ長い道のりがあります。しかし、水平線から日が昇る兆しが今、見えてきています。

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