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業界予測, 航空専門家の視点

航空業界の復活を支える、航空貨物の柔軟性

August 16, 2021

Ciriumは2020年1月、全世界の航空貨物の取扱量が10カ月連続で落ち込んだことを報告しました。しかしその後、IATAによると、運航スケジュールが制限され、大型機の数が減っていたにもかかわらず、2021年1月には、貨物の取扱量が回復するだけでなく、前月比3%の成長を記録したことが明らかになりました。さらに最近では2月から3月にかけて9%の大幅な伸びを見せました。

Ciriumは2020年1月、全世界の航空貨物の取扱量が10カ月連続で落ち込んだことを報告しました。しかしその後、IATAによると、運航スケジュールが制限され、大型機の数が減っていたにもかかわらず、2021年1月には、貨物の取扱量が回復するだけでなく、前月比3%の成長を記録したことが明らかになりました。さらに最近では2月から3月にかけて9%の大幅な伸びを見せました。

航空貨物は、特に混乱期において、より柔軟性の高い輸送手段になる傾向があります。航空各社はそれぞれのスケジュールや仕様(コンフィギュレーション)を状況に適応させることに成功しています。また、国際空港評議会(ACI)のデータによると、各空港では航空機が激減している状況にあってなお、運航スケジュールが維持されていました。そのため、航空会社も空港も、貨物需要の復活にほぼ対応できていました。

航空会社が持つ柔軟性は、貨物利用運送事業者や混載業者(コンソリデーター)にとっては、問題をもたらす悩みの種にもなりました。動的な航空会社のスケジュール(従来はたいてい数カ月前には設定され、変更されることがなかったもの)が、頻繁に変更されるようになりました。旅客機の運航スケジュールだけを見ても、2021年3月にはフライトの24%が変更されました。現在最も成功している貨物利用運送事業者や混載業者とは、このようなスケジュールの変更や機材の変更、ルート変更などを把握することで新たな効率化を図り、リスクや混乱を避けることができている企業です。

旅客機が今後も航空貨物輸送の重要な担い手であり続ける限り、途切れのないサービスを維持していく上で鍵となるのが、適切に管理された詳細なスケジュールデータです。

旅客機のフリート構成における昨今の変化も、航空貨物におけるプランニングに多大な影響を及ぼしています。

「航空貨物セクターで最も成長著しい「eコマース」 - 前年比27.6%の成長。」

2020年4月6日、Ciriumが駐機中ジェット旅客機の数は全世界で計16,522機に上りました。しかし1年後の2021年4月6日の時点で駐機の機材数は、計8,084機でした。

2020年5月までは、かなりの数の民間旅客機のグローバルフリートが駐機され、ワイドボディ機、ナローボディ機、リージョナルジェット機の数は16,000機を超えていました。2020年6月から、航空各社が航空機の運航を再開し始めますが、その大半はシングルアイル(単通路)およびナローボディのジェット機でした。それが貨物積載能力という点で大きな制約になっているようには見えないながらも、ワイドボディ機を使う選択肢がないため、航空会社が輸送できる物品や方法は制限されました。さらに、規模が縮小されたフリートでは、運航本数も限られます。

2020年、貨物を運ぶ航空会社のほとんどが稼働率を20%以上アップさせ、旅客機の穴埋めを図りました。とはいえ、特に大陸間ルートにおいて十分な数の貨物輸送機が利用できないなか、積載能力の大きな不足分を埋めるまでには至っていません。またこれは、旅客航空会社による旅客機(Passenger)を転用した貨物機(Freighter)、いわゆる「プレイター(Preighter)」の運航が急増した理由でもあります。

業界はこれに対応するため、テクノロジーに投資し、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めることで、新たな効率化を図ろうとしています。

航空貨物事業の今後の見通しは全体的に引き続き良好です。eコマースの重要性が変わる様子はありません。IBMの試算によると、コロナ禍でeコマースの成長が5年分加速しました。eコマースは、前年比で成長率27.6%をマークし、航空貨物セクターにおいて最も成長著しい部門になっています。製造セクターを取り巻く状況は、新型コロナウイルスの集団感染が最近急増したものの、堅調です。航空関連インフラへの投資は、道路、鉄道、海運関係のインフラ投資を上回っています。

労働問題や天候、インフラの老朽化によるサプライチェーンの混乱や、それに伴う輸送の遅延がもたらす輸送時間の長期化とリスクの高まりを受けて、メーカー各社は、航空輸送の利用に舵を切りました。生産工程で失った時間を取り戻すため、あるいは顧客のニーズを満たせるより速い輸送手段へと切り替えを進めるためです。世界の製造在庫は販売量に比べて低い水準のままで、在庫の迅速な補充を企業が必要としていることも、航空輸送の需要に拍車をかけています。

今後は、データ摩擦を解消できる航空会社、荷主、運送事業者、混載業者こそが、他社に先んじることになるでしょう。一貫した正確なスケジュール情報とフリートデータこそが、航空輸送業界における最適化の最もシンプルな手段となります。

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