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アセンド by Cirium, 業界予測, 航空専門家の視点, 航空機投資

Ascend by Ciriumによるウェビナー「ファーンボロー国際航空ショー2022に向けて」で得られた知見

July 27, 2022

ファーンボロー国際航空ショーを間近に控えた今、航空業界の現状に焦点を当てたAscend by Ciriumによる最新ウェビナーの重要なポイントをご紹介します。

Ascend by Ciriumによる7月のウェビナーでは、Ciriumのエアロスペース担当キーアカウントマネージャーであるHolly Ballantineが、Safran Cabinのセールス&マーケティング担当上級副社長であるNathan Kwok氏、さらにAscendのコンサルタント部門グローバルヘッドのRob Morrisとシニアコンサルタントの Richard Evansを迎え、航空業界の現状に焦点を当てた議論を行いました。パネラーたちは、まもなく開催されるファーンボロー国際航空ショー、幅広い市場の動向、サプライチェーンの状況について意見を交わしました。Ciriumの最新データを活用しながらライブ配信で行われたこのウェビナーでは、主に以下のような知見が得られました。

航空業界は引き続き回復しているものの、航空各社のコストに関する見通しは、ますます不確実になっている

Richard Evansはウェビナーの冒頭で、市場の現状と展望について概説しました。Richardは最新のデータと予測について解説し、利用率とスケジュールのデータが、世界的に力強く持続的な回復状況を示していると指摘しました。保管フリートの減少は顕著です。6月にはヨーロッパおよびアジアの航空会社が夏の繁忙期に向けて機材キャパシティを増やしたため、大きく減少しました。

とはいえ、航空業界以外の今後の指標をみると、エネルギー、食糧、サプライチェーンの問題に起因するインフレの懸念があるため、あまり楽観視できません。「世界的な景気後退の話は出ていませんが、経済予測がさらに下方修正されても不思議ではない状況です」と、Richardは述べました。

航空会社は短期的には、飛行機利用者に転嫁される可能性が高い全般的なコスト増と、燃料価格の変動に対処しなければならないでしょう。今後は、経済成長の鈍化とチケット価格の上昇の両方の要因により、需要が伸び悩む可能性は高いと考えられます。

ソース:Cirium Fleets Analyzer, passenger jets only

エアバスとボーイングは、設定した生産速度の達成という課題に直面している

Rob MorrisOEMの現況について解説し、2大航空機メーカーの生産速度の遅れを指摘しました。この2社の受注高はパンデミックからまだ回復し切れておらず、前回の拡大サイクルの絶頂期からは程遠い状況です。その理由は受発注キャンセルが依然として多いことにあります。ここ2年間で1,400件弱もの注文がキャンセルされているのです。受注残は拡大して現在の年間生産量の数倍の水準が維持されており、これによってさらなる発注を抑制し、生産速度を加速させる圧力が生まれています。

しかしRobは、エアバスとボーイングの両社ともに、生産量を増やすのに悪戦苦闘しているようだと語りました。ファーストフライトのデータによると、両社とも現行の設定生産速度よりも遅れています。これは、サプライチェーンに課題があること、そして今後数年間の生産速度を約束しても、達成できないか、持続できない可能性があることを示しています。

「エアバスが2025年にA320の生産速度をレート75(月産75機)にするという話をするとき、問題となるのはその増加の規模です。 私たちの持つデータによると、エアバスは現在レート40前後です。同社自体はレート45としていますが、レート75はこのベース値より66%増の規模となります。生産能力は、パンデミック前にはレート数で60~63ありました。これから3年後には、現在より3分の2増やす必要があるのです」

「大きな問題は、多くの人材を失ったことです。新しい人材を育成することが非常に難しくなっているため、今後3年間で生産量を3分の2増やすことは極めて困難です」 と、Robは結論付けました。

ソース:Cirium Fleets Analyzer

サプライヤーは、サプライチェーン全体で不確実性に対応している

Safran CabinのNathan Kwok氏は、混乱したサプライチェーンの中で事業を行うことの難しさについて述べ、売上予測の根底にある需要回復の不安定な性質を強調しました。「データを分解すればするほど、不安定さが際立ってきます」と、Kwok氏は説明しました。

「航空機には何百万という部品が搭載されますから、サプライチェーンの側からみれば、これは大きな問題です。たった1つの部品が欠けるだけでも、機材は納入されなくなります。サプライチェーンに投入される需要は、予測に表れるほどスムーズに増加するとは限らないのです」

Safran Cabinのようなサプライヤーは、適切な生産能力を維持しながら、多数の変動要因に対処しなければなりません。そうしなければ、納品漏れや多額のコスト負担に直面することになるのです。これは、サプライチェーン全体のすべてのサプライヤーについて言えることです。すべての小規模サプライヤーが生き残れたわけではないため、サプライヤーやメーカーは今、生産能力に対する脅威を再評価し、障害発生点を特定しようとしています。

Kwok氏は、航空業界が回復する際には、人材と原材料の確保に加えてこうした課題が浮上することになると付け加えました。「全般的には、業界に活気が戻ってくるのは非常に喜ばしいことですが、それによって生まれる課題もあります。この時代に航空市場のサプライヤーになるのは、実に興味深いことです」

ファーンボロー国際航空ショーでの主なテーマ

このような状況を踏まえ、パネルディスカッションでは、航空ショーの参加者がどのようなテーマを取り上げるかについて、そして開催日程の週に話題になりそうなニュースについて話し合われました。エアバス関連では、A321neoXLRの認証、A350の問題、A220-500プログラムの延長の可能性などが注目され、ボーイング関連では、MAXの認証という重要な問題が話題の中心になるでしょう。加えて、中国でのMAX運航の再開、世界市場での787の納入、そして中規模市場用機材の市場への対処法も主要なテーマとなりそうです。

さらに、COMACのC919、エンブラエルのターボプロップ市場への参入、デ・ハビランド・カナダによるDash 8の生産再開の可能性など、他のOEMの動きも活発です。全く別の分野に目を向けると、Boom Supersonic社のXB1デモ機の初飛行のニュースも注目されます。

エンジン分野では、ロールス・ロイス社のUltraFanの開発にまつわるニュースが注目されるほか、いくつかのA320neoファミリーの運航会社が、エンジンに関する決定を発表することが予想されます。また、Ascend by Ciriumではサステナビリティに関する数多くの発表があると予想しており、特に企業によるコミットメントに注目することになります。この点で言えば、航空会社によるハイブリッド電動機材や水素使用タイプの機材の導入、そしてEUが2030年までに5%の使用割合の達成を目標としている持続可能な航空燃料(SAF)の導入が期待されています。

Kwok氏は、2018年以来の復活開催となる今回の航空ショーでは、人々が顔を合わせて交流できることも重要な要素になると指摘しました。「受発注の発表や機材飛行の見物だけではなく、場合によっては数年ぶりに人々が再会を果たすということも、今回のショーのハイライトの1つとなります」

ソース:Cirium Fleets Analyzer, commercial jets only

オンデマンドのウェビナーを見る 燃料価格の高騰、インフレ、複合材(コンポジット)の不足の影響に関するより深い分析を含むプレゼンテーションの全体を見るには、こちらからオンデマンドでウェビナーを視聴してください。

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