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Ascend Consultancy, 航空専門家の視点, 航空機投資

商用航空機市場のセンチメント指数:再び回り出した機材のエンジン

April 3, 2023

今回のリース料センチメントの復活を牽引してきたのは、主にワイドボディ機です。

Ascend Tim Chun Hing Li, Ascend by Cirium

筆者:Tim Li, Aviation analyst at Ascend by Cirium

Ascend by Ciriumは2021年4月、商用航空機市場センチメント指数(CAMSI)を導入しました。この月次指標では、主要市場のステークホルダーへのアンケート調査を通して、市場センチメントと価値・リース料のトレンドを追跡します。ステークホルダーには、リース会社、銀行、OEM、パーツアウト事業者、航空会社、ブローカーが含まれます。

私たちはCAMSIにおいて、NPS指標の手法を使用しています。これは、「高過ぎる」または「上昇傾向にある」の回答数から「低過ぎる」または「下降傾向にある」の回答数を差し引き、それを当該の質問に対する総サンプル回答数で除した割合として算出されます。40~-40%の範囲のスコアは概ね「安定」を表し、-40%未満のスコアは「否定的センチメント(感情)」を表し、40%超のスコアは「肯定的センチメント(感情)」を表すものとします。


中国の新型コロナウイルスに関する隔離措置やマスク着用の義務付けが解除されたことにより、世界の航空市場が再び繋がるためのパズルの最後のピースが揃いました。航空会社はキャパシティを増強するために全力を尽くしていますが、新造機材の供給にはこれまで大きな制約があり、市況回復の初期段階から支障が生じていました。そのため、ここ数年間駐機・保管されてきた古い機材への注目度が、ますます高まっています。運航会社(オペレーター)がそうした機材を稼働させて再びエンジンを回し、需給ギャップを埋めようとしているからです。

当社の2月の調査では、調査対象のすべての機材タイプにおいて、リース料の動向に関するNPS指標が、プラス圏を堅調に維持しました。しかし、機材タイプ別の傾向を見ると、新造機が昨年第3四半期以降、50ポイントをわずかに上回る程度のNPSを維持してきたことが分かります。逆に、旧型機のNPSは急上昇し、新造機の平均値との差をわずか7ポイントにまで縮めています。

ソース:Ascend Commercial Aircraft Sentiment Index February 2023

私たちは1月の分析で、機齢10年の機材の市場価値(MV)が回復した複数の理由について調べました。

ところが、1月の市場価値の調査とは異なり、今回のリース料のセンチメントの回復は、主にワイドボディ機に牽引されています。例えば、エアバスA330-300は60ポイントもの上昇となっています。

A330-300HGWのフリートの約670機のうち約半数は、APAC(アジア太平洋)地域のオペレーターによって運航されています。この地域は中国市場の再開前、旅客輸送量の回復ペースが世界の他地域と比べて遅れていました。中国で使用されるこれらのA330の大半は、利用の多い短・中距離路線に対応するため、高密度な座席構成となっています。2022年を通じて、APACに拠点を置くオペレーターの多くは徐々にスケジュールを元に戻し、キャパシティの充実した機材を再び大空に送り出すようになりました。しかし、2023年第1四半期の初頭に中国が隔離措置を廃止し、他のさまざまな国々もワクチン接種やマスク着用の義務付けをなくしたことから、稼働機材の機数やその1日あたりの使用率が、とりわけ顕著に増加しています。2023年1月には、中国のオペレーターによるA330の追跡運航機数が、前月比2倍に増加しました。

ソース:Cirium Tracked Utilisation

また、リース市場から調達可能な機材の数も減少しています。これは、1年前とはまったく違う状況です。当時オペレーターは、ボーイング787やエアバスA350といった新世代ワイドボディ機へのリプレース(置き換え)を見越して、計画的かつ段階的に使用機材をリースから外して返却していたからです。

稼働機材の数と稼働率の両方が増大し、さらにA330の継続的な配備によりリース会社の遊休機材の数が減少していることから、市場のセンチメントは概して楽観的です。こうした強い楽観論を背景に、私たちは2月中旬、A330の市場価値とリース料の徹底的な見直しを行い、捕捉したデータポイントに基づいてA330-300HGWのリース料を最大で19%引き上げました。

A330-300(および私たちが調査対象とした他の機材タイプである機齢10年のワイドボディ機のボーイング777-300ER)は最新世代の航空機ではなく、エンジンの騒音が大きく燃費もよくありません。しかし、この両機種のヴィンテージ機材としての平均機齢はわずか10~11年であり、多くの機材が最初の「重整備」の時期すら迎えていないことは覚えておく必要があります。したがって、私たちがコロナ禍後の時代に向かう中、この比較的古い機種はなお利用され続けているのであり、その機材価値とリース料の傾向もそのことを反映しているのです。


私たちは、市場のすべての側面を反映させるべく、常に新たなアンケート回答者を探しています。回答者には、調査結果の完全版(上記の内容は主な概要に過ぎません)を入手できるというメリットがあります。アンケートに回答するための時間はわずか3分ですが、それにより回答者は、入手し得る最も大局的な機材価値の市場トレンド情報を手に入れることができるのです。CAMSIのアンケート調査に参加したい方は、michael.graham@cirium.comまでご連絡ください。アンケート回答者には、調査結果の完全かつ詳細な分析(10以上のグラフを含む)が提供されます。

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