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eVOTL

即時分析, 航空専門家の視点

即時分析:eVTOLの市場ポジションを探る

March 30, 2022

電動垂直離着陸機(eVTOL)が、ますます商用航空業界の注目の話題になっています。

Cirium Analysis - on the fly

eVTOLの市場ポジションを探る

Pascal Chui, Ascend by Cirium

筆者:Pascal Chui, Ascend by Cirium バリュエーション担当者

電動垂直離着陸機(eVTOL)が、ますます商用航空業界の注目の話題になっています。多くの新興企業、既存の航空関連企業、そして一部の自動車メーカーさえもが、独自のeVTOL機を開発中です。Ascend by Ciriumチームはこれまで、先進航空モビリティ(AAM)市場の開発状況を積極的に調査し、eVTOL機に関する受発注やその他の市場の動きについて追跡を行ってきました。そうした市場の動きに関連した発表は、現在までに5,000件を超えています。しかしながら、その受発注は条件付きのものがほとんどです。公的認証を受けたeVTOL機はまだなく、試験飛行まで進んでいる機材は実際にはごくわずかなのです。

eVTOLは、ヘリコプター部門にとって脅威になるとよく言われています。eVTOL機とヘリコプターを比較してみるとどうでしょうか?

eVTOLのほとんどは、まだ開発段階にあります。私たちは以下の比較において、試験飛行が実施されている有望なeVTOLプロジェクトをいくつか選びました。下のグラフでは、可能性のあるeVTOL機と一部の一般的ヘリコプターの航続距離を比較しています。eVTOLの航続距離は、機種によって大きなばらつきがありますが、全般的には、現在のヘリコプターが通常達成できる距離よりもはるかに短くなると報告されています。

eVTOL Range

eVTOLの航続距離の例を示した地図: 5人乗りLilium Jetの場合(ロンドンヒースロー空港から161海里)

eVTOL Range Map

下のグラフでは、eVTOL機の実用的な有効荷重(ペイロード)も、ヘリコプターよりかなり低くなっていることが示されています。こうしたeVTOLの実用的ペイロードは、ほぼ乗客のみの重量となっています。そのため、余分なものを運ぶことができない可能性があります。

eVTOL Payload

ヘリコプターは、オフショア・オペレーション(海上作業)や捜索・救助、緊急対応、重量物の取扱い作業向けに幅広く利用されています。これらのオペレーションには、長い航続距離、重量機器類の運搬能力、十分な座席数、そして迅速な往復運航プロセスが求められます。進化の途上にあるeVTOLについて私たちが知るところでは、そうした任務においてeVTOLは、現時点でヘリコプターに代わる存在になれそうもありません。よって、eVTOLの初期の用途は、エアタクシーまたは観光飛行用に限定される可能性が高いでしょう。

それでも、eVTOLについて長期的な判断を下すのはまだ早過ぎます。eVTOL機は、効率性が高く、従来のタービンエンジンと比べて非常に軽量でもある電動モーターで駆動します。eVTOLの性能は、主にバッテリー技術によって支えられています。現行バッテリーのエネルギー密度はジェット燃料のわずか2%しかないため、重量的な負荷が大きいです。しかし、バッテリー技術が向上するにつれて、eVTOLの性能が上がり、結果としてその任務遂行能力は、いずれヘリコプターのそれに追いつく可能性があります。


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