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業界予測

コロナ禍、時代を先取りする3つの方法

May 12, 2020

2020年5月1日の時点で、世界の保有機材の60%以上が保管中であり、ヨーロッパの稼働率は前年比で95%減を記録しています。誰にも予想することができなかった今日の現実を目の当たりにし、我々は業界一丸となって、市場の再建と回復につながる賢い意思決定を行う努力をしています

2020年5月1日の時点で、世界の保有機材の60%以上が保管中であり、ヨーロッパの稼働率は前年比で95%減を記録しています。誰にも予想することができなかった今日の現実を目の当たりにし、我々は業界一丸となって、市場の再建と回復につながる賢い意思決定を行う努力をしています。貴社でのプランニング構築や、一歩時代を先取りする重要な取り組みを行う上で、弊社は以下の3つのコツが参考になればと考えています。

保管中の機材で起きる日々の変化を監視

弊社では、世界の保有機材の状況を2つのシナリオに基づいて分類しています。まずはじめに、運航停止(シャットダウン)の時期が挙げられます。このフェーズは1万6500機に相当するジェット旅客機の65%以上が弊社の「保管中」に分類された2020年4月21日の時点で終了したと考えられます。二つ目のシナリオは、現在継続中の休眠状態の時期です。この期間では、機体が14日間で1サイクルも運航されない場合に「保管中」と分類しています。5月7日時点の弊社の統計では、世界の保有機材のジェット旅客機のうち61%が保管中のままです。直近、運用機材が1万300機前後で安定している一方、7日間の追跡データでは、幸い航空機稼働率が伸び続けています。このようなデータを日々チェックすることで、再建や回復に備えるヒントをつかむことができます。航空会社別に保有機材の変化を監視し、運航に復活した機材、退役した機材、保管中のままの機材を正確に確認することができます。

運航予定便と実際の飛行便数の差異を把握

Ascend by Cirium グローバル・コンサルタント統括のRob Morrisは、5月7日に以下を語っています。「需要の先行きが不透明さを増す中、航空会社各社は回復に向けて計画を模索していますが、短期的には世界の修正版の運航スケジュールのうち約5分の1が欠航となっており、前日に欠航が決定するケースもしばしば見られます。Ciriumの追跡データでは、5月1日に合計4138機のナローボディ機による便が記録されていますが、それに対し1月3日は1万3934機でした。したがって、運航スケジュールはあくまでも目安として参考にすることが重要です。今回の危機において、運航スケジュール情報を実際のフライト状況データに融合させ、市場の実態を見極めることが最も効果的だと考えます。

上記Ciriumによる可視化では中国国内の航空市況と動向を新型コロナウイルスの影響の一例として紹介しています。中国の国際版はこちらをご覧ください。

計画的な再建で明日の世界へ

航空業界に衝撃を与えたIATA(国際航空運送協会)による今年の旅客数48%減という試算を受け、Rob Morrisは業界の新たな見通しに対し、最低7年分の旅客輸送量の伸びが消失する可能性を含む専門的視野から独自の見解を解説しています。

IATAが当初予測していた成長率4.7%増に対する今回の大幅下方修正は、前代未聞の試練を示しています。2019年の水準まで旅客輸送量を取り戻すには、100%の複合成長率が必要となります。10%~30%の伸びでは、回復は2014年の水準に留まります。

さらに、エアバスA340機やボーイング777機等、特に2001年から2005年の期間に製造された保管中のワイドボディ機は、現在の需要状況により退役の計画が前倒しになる可能性が高いと考えます。

また、2000年以前に製造された保管中の機体は2000機以上に及びます。こういったジェット機は運航に復帰させることが厳しく、たとえ貨物機に転換したとしても、再び息を吹き返すことはないかもしれません。

短期的には、2021年の航空業界の情勢を占うのは難しい状況にあります。しかし一つ確実に言えるのは、今後利害関係者が業界の需給両面を入念に監視する必要がある、ということです。

市場を日々モニターしていらっしゃる方は、Ascend by Ciriumの受賞コンサルタントチームによる「withコロナ時代に監視する市場動向」の最新レポートを是非ご覧ください。

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